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その23 『TOKYO BOY』(東京MXテレビ)2006/02/05(日)21:00-21:30
      〜東京に泊まろう!in巣鴨


◆駅前

N「ご近所という概念が希薄な町、東京。いまや隣近所の顔すら知らないというご時世。東京の人たちにいまもなお人情は存在するのだろうか。そんな疑問を調べるべく都内のさまざまな場所で、今晩泊めてくれませんか、といきなり宿泊交渉をするという、この企画、東京に泊まろう!そして今回の希望者は」

「池袋駅東口」駅前。
ふりしきる雪の中、ニット帽、青いダウンジャケットの有吉さん登場。

スタッフ(声)「どうも」
有吉「おはようございます」
スタッフ「雪ふってますね」
有吉「最悪のお天気ですね。すごい雪ですよ」

N「元猿岩石、有吉弘行。(白雲PV)いまから10年前、日本テレビ進め電波少年のヒッチハイク企画で大ブレイクしたお笑い芸人。その後も歌手としてデビューし、白い雲のようにではミリオンヒット、と一躍時の人に。しかし、この日はあいにくの大雪。白い雪が東京にふりつもり、宿泊交渉には最悪の条件となったが、そこはアポなしロケの元祖、有吉には期待がかかる」


◆ロケバス車内

N「と、ここで東京に泊まろうルールの説明を」

<東京に泊まろうルール>
・宿泊先は「東京都内」 ・所持金は¥0
・タイムリミットはAM0:00
・宿泊先が見つからない場合は「野宿」

N「泊めてもらうお宅はもちろん都内限定で、所持金はゼロ。タイムリミットの12時までに万が一宿泊先が決まらない場合は、野宿してもらいます。だが、これだけではアポなしロケのプロに申しわけないと、今回は特別に、あるルールを設けた」

スタッフ「いつもは泊まろうやるとき、交渉するときに横にカメラとスタッフがいたんですけども、今回いませんので」
有吉「いませんってなんですか?カメラとかディレクターさんも周りにいないってこと?オレどうすんの?」

<有吉特別ルール1>
リアルな巣鴨の人達の「人情」を調査するため
有吉は一人きりで宿泊交渉
スタッフとカメラは離れた所から見守る

スタッフ「えー、ひとりでちょっと交渉してもらいたいなって」
有吉「いやいや、不審でしょう。カメラがいるからまだ」
スタッフ「テレビパワー無しってことで」
有吉「テレビパワー無し?(笑)いや、絶対無理だわ。絶対無理ですって」
スタッフ「だから、もちろん交渉するときにテレビの撮影ってことを絶対にバラさないで下さい」
有吉「テレビの撮影って言わないの!?」

<有吉特別ルール2>
設定はあくまで「有吉のプライベート」
交渉の際にTVの撮影である事を
バラしたら「交渉不成立」とする

スタッフ「だって、隠し撮りじゃないですか、これが」
有吉「テレビの撮影って言わなかったら、ただの不審者だって。泊めて下さいって言うんですか?」
スタッフ「はい、そうです」
有吉「いやいやいやいや。ちょっと、不安というか不満ですね。できるかな。オレできないと思いますよ」

BGM『旅人よ』♪強い風にいま立ち向かっていく〜

N「悪条件な天候とルールに、早くも不満をこぼす有吉。だが、この男は苛酷なヒッチハイクの旅でわれわれに、勇気と感動を与えてくれた男。乗り越える壁が高ければ高いほど、燃えてくれるはず」

スタッフ「有吉さん、着きました」

N「はたして今回の交渉の場所は」

スタッフ「ここが今回のロケ場所なんですけど」
有吉「(窓から外を見て)巣鴨!?巣鴨。巣鴨はまたキツイなあ」

N「今回有吉が挑戦する町は、おばあちゃんの原宿として知られる人情の町、巣鴨。圧倒的に年齢層の高いこの町の人々は、当時若者から絶大な人気を誇った猿岩石の存在を知っているのか」
有吉「巣鴨はいちばんダメですって。知らないもんボクのことなんて。だってほら人通りない、全然歩いてないじゃないですか」

<東京に泊まろう!in巣鴨 Tokyo,Boy>

有吉「(リュックを渡されて)これ、いらないですよ」(と言いながらリュックと帽子と眼鏡着用)

N「まずは設定があくまで有吉のプライベートということで、バックパッカーふうのリュックを渡し、さらに万が一のパニックに備え、簡単な変装をして宿泊交渉の旅へと出てもらう」


◆巣鴨

スタッフ「ここからボクら離れてますんで」
有吉「本当に離れるんですね」
スタッフ「ひとりでちょっとじゃあ行って来て下さい」
有吉「はい、わかりました」
スタッフ「どうぞ」
有吉「どうぞって、オレのペースでやらせてよ(笑)もうホントやだー」

N「それではさっそく交渉スタート」

有吉「もう人、少ねえしよー」

N「まず有吉が向かったのは、巣鴨でいちばん人通りの多い地蔵通り。ふだんなら大勢のお年寄りや観光客で賑わっている巣鴨の竹下通り、なのだが」

有吉「年寄り多いなあ。年寄りばっかりだなあ」

N「やはりこの日は大雪が影響し、人通りは明らかに少ない」

有吉「わあ、なんかもう恥ずかしいなあ、声かけんの。あ、とげぬき地蔵あるな。お、いっぱいいる、人」

N「声をかけてもらうことを願い、ひとけの多いとげぬき地蔵へ」

有吉「(お参り)いい人が見つかりますように」

N「しかし変装のせいか、誰ひとり有吉に気づかない。巣鴨の厳しい現実を肌で感じた有吉は、ようやく自分から声をかけようと決意する。まずは人情深そうなおばあちゃんの集団から」

有吉「こんにちは。寒いねえ」
おばあちゃん「寒いねえ」

有吉「いやあ、ちょっと恥ずかしいなあ」

N「寒いねえと暖かい挨拶は交わせたのだが、それ以上の言葉が出てこない。すると突然おばあちゃんを追いかけ、強引に輪の中に入った有吉。一体なにをするのか」

◇白雲作戦
有吉「♪風に〜吹かれて〜」

N「なんと自身のヒット曲をさりげなく口ずさみ、猿岩石をアピールしだした有吉。プライドをかなぐり捨てた強引な作戦に、果たしておばあちゃんたちの反応は」

有吉「♪白い雲のように〜白い雲のように〜。(反応なし)全然ダメだね。あーこんな恥ずかしいかね、声かけるのって」

N「意外に人見知りな性格の有吉は、見知らぬ人にどうやって声をかけていいのかがわからない」

◇すっころび作戦
有吉「自然な感じで話しかけられる方法は。(雪の歩道で転んで)あー痛てぇ(大丈夫ですかと声をかける人もいるが、大丈夫とわかるとすぐに去っていく)。あー(傘)曲がっちゃった。あーあ、自爆しただけだな。傘こわれちゃったな、こりゃ(苦笑)」

◇単刀直入作戦
N「不自然すぎるファーストコンタクトに困惑する巣鴨の人々。不器用な有吉は正しい順序を踏めない。すると」

有吉「寒いですね」
女性「寒いですね」
有吉「今日もう泊まる家も無いんですもん。お金も無いし。泊めて下さいよ」
女性「冗談じゃないですよ。狭いですよウチは」

有吉「うわ〜すっげぇ怖ぇ〜。冗談じゃないですよって言われた。はぁ〜」

◇タレントパワー作戦
有吉「(スタッフに)これはもう無理です、ホント無理です」
スタッフ「え、なんでですか?」
有吉「見たでしょ、ずっと、ね、誰ひとりオレだって気づいてないですもん。もう普通に怪しい人ですもん。これはホントあぶない。これ(眼鏡)だとホントずっとつかまらないですよ」
スタッフ「じゃあ有吉さんだとわかれば巣鴨の人は泊めてくれるってことですか?」
有吉「だと思うんですよ」
スタッフ「わかりました。それ(眼鏡なし)でちょっとやってみましょう」
有吉「いいですか、これでちょっとすいませんけど、お願いします」

N「元猿岩石有吉というタレントパワーを使えば、巣鴨の皆さんは優しく迎えてくれるはず、という有吉。すると」

有吉「(眼鏡と帽子をはずして)これなら全然違う。よし。(さっそく声をかけられて)あ、どうも。ほら、早いな。はいはい(笑顔)」
女性「きょうはなんの(ロケですか)?」
有吉「いやあ、ちょっとプライベートなんですよ」
女性「(写真)撮らせてくださーい」
有吉「はい」
女性「ありがとう」
有吉「きょうはどちらから?」
女性「静岡です」
有吉「静岡ですか。あいにく(の天気)ですね。じゃあ、どうも。・・ああ、もう全然違うな。バンバン引っかかる。それこそパニックになっちゃうな。・・どちらからですか」
女性「静岡です」
有吉「あ、そうか、みんな静岡か。・・どちらから?」
女性「大分です」「長崎から来ました」(と、家族連れなどと一緒にニコヤカに写真撮影に応じる)

N「たしかに有吉の言うとおり軽いパニック状態にはなったのだが、ここは東京で有数の観光地、巣鴨。声をかけてくれるのは、みな地方から来た観光客ばかり。なかなか進まない宿泊交渉に、当の本人は」

有吉「ちょっと嬉しいな。久々だな、こんな感じ」

◇ケータイ作戦
N「だがパニックはすぐに収まり、またもやひとりぼっちに。すると有吉、今度は巣鴨の人たちに、自分が芸能人であるとアピールし始める」

有吉「(歩きながら携帯電話で)あーもしもし、たけしさん?えー、ええええ、たけし軍団の。はい、集まりあります今日。じゃあ、たけしさんの家に、6時に行ったらいいですか?ビートたけしさんの・・はいはい。はいはいはい、わかりました。みのさんの快気祝い行きましょうか。じゃあ、たけしさんと関口さんと、関口宏さんと、ええええええ、ああ、古舘さんと」(しかし、周りの人々は無関心)

◇タイガージェットシン作戦
N「さらに」

有吉「(若い女性ふたり連れに)泊めるわけにはいかない?」
女性「え、無理」
有吉「ものまね見て面白かったら泊めてもらうっていうのはどうですか?ええっとね、じゃあタイガージェットシンやるわ」

<有吉によるタイガージェットシン入場行進のモノマネ>

女性「(笑)」
有吉「全然わからない?」
女性「ちょっとわからない」

有吉「完璧にチョイス間違えたな」

◇カメラよ!
有吉「(ぶつぶつと)カメラがあるから何かおかしなこと言っても誰か何か言うのに、カメラ無いのに泊めてくれるわけないだろ、バカが。誰も声かけて来ないしよ。なんだよ」

N「隠し撮りというルールに苛立ち始めた有吉。すると突如、交渉をやめ、ベンチに座り込んでしまった」(境内)

有吉「もーやだ」(ふりしきる雪の中、傘もささずに)
スタッフ「有吉さん、なにやってんですか?」
有吉「もう絶対無理。絶対無理だもん。プライベートで泊めて下さいなんて、無理ですって。だあれも信じてないもん。なに言ってんのみたいな顔してますもん、みんな」
スタッフ「(下)雪ですよ」
有吉「もう全然寒いとかないもん、マヒして」

N「カメラが無いと話にならないとゴネる有吉。さらに」

有吉「無理だもん」と、雪の上に大の字。
スタッフ「がんばりましょうよ」
有吉「もうがんばったよ!さんざん。カメラが無かったらオレこのままホント埋もれて死ぬよ」
スタッフ「ここで野宿って感じですか」
有吉「野宿じゃないよ。オレここで死ぬんだもん。ここで。ほんともう嫌がらせされたって。お願いします(土下座)。ホントお願いします、カメラを下さい。(助け起こすスタッフに)なんだよ、土下座させてくれよ。土下座もさせてくんないのかよお」


◆夜の商店街

N「夜になっても一向に宿泊先が決まる気配は無い。さらにこの日は大雪の影響で、商店街の店がはやばや店じまいを始めてしまった。そこで有吉は、閉店作業をしているお店に的を絞るのだが」

有吉「…どんどん閉まっていくなあ。(店の人に)泊めてくんないよね」
男性「スペース無いんですよね」
有吉「あ、ホントですか、すいません」
男性「すいません」

有吉「なんにも贅沢は言いませんから」
女性「無いですよ。うち部屋が無いの」

有吉「もう全部の店、聞いたよ。こんな雪の中でよ、ビッチャビッチャの男を誰が泊めんだよ。ほんとやだやだ」


◆ロケバス車内

N「すると有吉、今度はロケバスの中に立てこもってしまった」

スタッフ「有吉さん、有吉さん」
有吉「(顔の上に白いタオルを乗せていたが、それを下にズラして顔を見せる)」
スタッフ「どうしたの?」
有吉「もう、やだ」
スタッフ「え、もうやだって?」
有吉「もう無理です。ホントもう無理」
スタッフ「仕事ですから」
有吉「(傍らに置いたリュック。リュックの横にカワイイおサルのマスコット人形がぶら下げてある)こういうの、ほんとムカつくんですよ。最初からイライラきてたけど」
スタッフ「だって、ちょっとわかりやすいじゃないですか」
有吉「猿岩石でしょう」
スタッフ「はい」
有吉「もう解散してんだもん。解散してもう2年たってんだよ」

BGM『白い雲のように』♪遠ざかる〜

有吉「(静かに)カメラ付けて…カメラ付けてください。ボクみたいな三流芸人にカメラを付けるのは、馬鹿らしいと思うんですけど、本当にカメラが無いと、本当にもう無理なんで、本当にカメラを付けてください。ほんとにお願いします。(頭さげる)」
スタッフ「じゃあ付けましょうか」
有吉「すいません。お願いします」

N「というわけで、ここで一部ルールを変更。ここからは有吉にカメラを付けて宿泊交渉」


◆再スタート

地蔵通商店街入り口。カメラマンスタンバイ。

有吉「(超笑顔、ハイテンション、終始カメラ目線)さあ!TOKYOBOY、東京に泊まろう、巣鴨編。ということで、今日はあいにくの雪ですけれども、ガシガシいろんな人に交渉をしていきたいと思います。さあ有吉が巣鴨にやって来ましたよー!」

有吉「(店の人に)さっきはちょっと嘘ついてすいませんでした!実はね、テレビなんですよ!」

N「ここぞとばかりテレビパワーをアピールする有吉であったが」

有吉「(雪かきしているオジサンに)こちらカメラです!ええ。どうですか。泊めてくれませんかね。(オジサン去っていく)いやー失敗しました!」

有吉「(店じまい中の男性に)でも、こうやってテレビで宣伝したら、またひとつ、お客さんもバシバシね、来てくれるかもしれませんね!いかがでしょう」
男性「ちょっと無理です。申しわけないですけど」

有吉「(後ろから声をかける)ダメ?テレビ撮ってんのに?」
女性「ダメダメ」

有吉「(前からやって来る人に)あ、ちょっとお話うかがってもよろしいですか?」(皆、足早に去っていく)

有吉「(つぶやく)バカにされたもんだよ本当に」

有吉「わ、これマズイな」(歩いて行くが、ひとけが無くなる)

N「そして、ついに巣鴨のもっとも人通りの多い地蔵通りから、人の気配が無くなってしまった」

有吉「(境内までやって来るが)わあ全然いねーや、もう」


◆突撃交渉

N「そこで有吉は最終手段へ。住宅地へと出向き、灯りのついているお宅へ突撃交渉を試みる」

有吉「わぁもうやだなー、ほんとにやだなー。はあ〜(ためいき)」

有吉「(民家のインターホンを押す。出て来た男性に、明るく)あ、どうもすいません、夜分遅くに。いまちょっとですね、お金を持たずにこの寒い中、町をきょう一日中ずっと歩いてまして、お宅に泊まらせていただこうという企画なんですけれども」
男性「子供がまだ小さなものですから」
有吉「あ、ボク本当に子供が大好きなんですけども」
男性「まだね、2歳なんですよ」
有吉「…寒いですね…」
男性「申しわけないです」
有吉「すいません、ありがとうございます、わざわざ」

BGM『白い雲のように』♪風に吹かれて〜

女性「あのね、犬が2匹いちゃって。申しわけないんだけど」
有吉「あ、ほんとですか。わんちゃん紹介っていうコーナーもあるんですけど」

有吉「あの、ボクを泊めてくれるクリーニング店さんを、いま探してるんですけども」
男性「家はちょっと泊められないんです」

男性「えぇ忙しいんでね」
有吉「あ、忙しいんですか。寒いですよ、外」
男性「…」
有吉「すいません、ありがとうございます。無いですよね、この辺(で泊めてくれる)そんなおうち」

有吉「やっぱ、ちょっとスタッフが足かせになるわ。『カメラもいるんですか』って言ってましたもん」
スタッフ「でも、それは有吉さんがお願いして、(カメラもいるように)なったんじゃないですか」
有吉「違いますよ。『有吉さんですか』って言ったときは、『はいはい知ってます、猿岩石の』っておっしゃってたのに、『カメラいるんですか』って、それから、『うち狭いんで』って言ったんですよ」
スタッフ「それじゃ、カメラ(付けるの)やめます?」
有吉「いやいや、カメラやめるとかじゃなくて、責任はオレだけじゃないよっていうことをわかってほしい。いっしょにいまからやっていく上で。そうでしょう。全部オレが断られているみたいな顔しているから。だから、感情論で喋るのやめましょうよ。『カメラいなくていいんですか』とか、そういう感情論で喋るのやめましょう、お互い」
スタッフ「有吉さん、がんばりましょう、いっしょに」
有吉「がんばりましょう、いっしょに。ちょっとあっちに行きましょう」

有吉「(独り言のように)本当言えば、カメラさんだけなんだよ、仕事してるのは。あと(のスタッフ)はもう、あれだよ、オレをバカにしているだけだ」


◆ついに!!

N「と、ここで有吉は、いままで恐いからという理由だけで敬遠していた豪邸の扉を叩く決意をしたのだが」

有吉「(大きな家の前で)これぐらいのほうがいいのかな。(突然、さしている傘の上を雪の塊が直撃)びっくりしたあ!」
スタッフ「上からですね」
有吉「そういう(雪塊落下装置みたい)のがあるのかと思った」

N「気を取り直して交渉へ」

暗い外から見る家の窓は、灯りに照らし出されて明るい。インターホンを押す有吉。
奥さん「(中から)はーい」
有吉「こんばんは。すいません、わざわざ。いまテレビで、となりの晩ごはんみたいな感じの番組をやっているんですけども…」
ご主人「どうしたの」

N「騒ぎを聞きつけたご主人が出てきた」

有吉「あ、すいません、こんばんは」
ご主人「見たことあるな」
有吉「あ、ちょっと旅をしていた者です。猿岩石というコンビで。それで、ちょっとお宅に泊まろうという感じでやっているんですけども」
ご主人「誰が泊まるの?」
有吉「わたくし一人でございます」
ご主人「いつ?」
有吉「きょうです」
ご主人「これから?」
有吉「ハイ!」
主人「そう。あなた、写真撮る人いないの?」
有吉「いま、ちょっと…」
ご主人「まあ、いいや。とりあえず上がれよ」
有吉「本当ですか、いいですか?」
ご主人「いいよ。泊まっていいよ」
有吉「ほんとですか!?」
ご主人「面白いじゃない」
有吉「ほんと?」
ご主人「山賊じゃねぇだろうな」
有吉「こんなもの山賊にもなれない奴らばっかりですから。じゃいいですか」
ご主人「(家の中の家族に)面白いの来たよ」
有吉「すいません。(スタッフに)じゃあ上がらしてもらいましょう、せっかくですから」

ジャジャジャジャーン!
<あっさり宿泊先決定>

N「面白そうだからと、あっさり宿泊先が決定!有吉の顔もほころぶ」

ご主人「タキシードに着替えなきゃいけないのかな?」
有吉「(笑)すいません。お食事中でしたね、ちょうど。申しわけないです」
ご主人「一緒にメシ喰おうぜ!」
奥さん「ちょうどいい」
ご主人「腹、へってる?」
有吉「腹へってます」

N「有吉を快く迎えてくれたのは、岡野さん一家」

父 岡野敬介さん(55)
次男 岡野晃道さん(26)
母 岡野輝枝さん(55)

N「実は昔、電波少年での有吉の奮闘ぶりに感動し、みなテレビの前に釘付けだったという。ちなみにノリのいい、こちらのお父さんはラジコン関係の商社を経営している、れっきとした社長さんである」

ご主人「なんでうちに来るんだろうね。へー面白いねー。…けっこう好きかもしんない私」
有吉「すいません、どうも。(ビールで乾杯)本当に助かりました、ありがとうございます。(キッチンにいる奥さんに)お母さん、ありがとうございます」

N「さっそく有吉は岡野家の夕食に合流する。一文無しのために朝から何も口にしていなかった有吉。お母さんが次々と作ってくれる手料理にがっつき、空腹を満たす」

有吉「わっ、うまっ。だから、東京にはもう人情が無くなったもんだね、なんてグチグチ言いながら歩いていたら、見つかりまして」
ご主人「退屈してたんだよ、きょう」
有吉「ほんとですか?」
ご主人「だってさー、もうゴルフも行けないしさー」
有吉「そうですよね、雪で」
ご主人「お互いそれでマッチしたからいいんだよ。そっちは探してる、こっちは退屈してる。そうそうそう」
次男「最近どういうモノマネやってるんですか?」
ご主人「あっ、モノマネやってよ。だって泊まっていくんだからさ、一曲ぐらい芸やんなかったら、泊めないよ〜」
有吉「じゃあ、あの…帰ります(笑)」
ご主人「(笑)帰る!?」

N「相手が誰であろうが、お客さんとして迎えたからには精一杯もてなし、気をつかわせないというお父さんの江戸っ子気質と、人の好意には全力で甘えるのがポリシーだという有吉は、完全に意気投合」

◇大宴会
<「お客さんは精一杯もてなす」お父さん。「人の好意には 全力で甘える」有吉>

N「さらに、なんと自宅にお酒専門の冷蔵庫があるという岡野家。となれば、大酒飲みの二人は当然、突っ走ってしまう」

有吉「(ビールをついでもらう)わあっ、ありがとうございます。すいません」

BGM『旅人よ』♪なんだかほんとに安心したよ〜

<ビール、ビール、ビール、赤ワイン、白ワイン、日本酒>

有吉「(カメラに)なに撮ってんだよ。はあ!?(目が据わっている)」
ご主人「仲間だよ!(カメラに)な!!」

ご主人「チッチキチーか〜?」上機嫌。
有吉「チッチキチー…」破顔。

ご主人「有吉!このヤロー」

有吉「(カメラを指さし)オレらが簡単に脱ぐと思ってるんですよ!」

◇ダウン
畳の上に仰向けの有吉。
有吉「(笑)」
スタッフ「大丈夫ですか?」
有吉「はあ?」
スタッフ「あした」
有吉「大丈夫ってなによ。…だからオレ酒飲んでないんだよ」
スタッフ「酒飲んで…ないのに、こんな感じですか?」
有吉「眠いの」
スタッフ「眠いんですか」
有吉「酒飲んでないんだもん…」
スタッフ「えっ?」
有吉「…酒飲んでないの(笑)」

◇お風呂
有吉「(湯舟につかって反省)お礼を言いたかったけど、なんにも言えてない…」

N「風呂に入り、多少酔いを醒ませた有吉は、一宿一飯のお礼をするため、お父さんのもとへ。すると」

◇お礼
ご主人、高いびきで熟睡中。

スタッフ「完全に寝ている。残念」
有吉「(ご主人の枕元で手を合わせて、小声で)本当にきょうはありがとうございます。本当におやっさんのおかげで命拾いしました。(寝ているご主人のおデコにチュッを2回して)ありがとうございました(一礼して退室)」

◇お疲れ
N「そして、有吉も長かった一日をようやく終える」

スタッフ「ひとこともらっていいですか?おやすみなさい」
有吉「(布団の中で)すいません、おやすみなさい。きょうはちょっと酔っぱらっちゃって、みなさん、すいませんでした」
スタッフ「おやすみなさい」
有吉「ほんとにすいませんでした」

BGM『白い雲のように』♪風に吹かれて〜歩いてゆくのさ〜


◆翌朝

N「岡野家のみなさん、本当にお世話になりました」

有吉「(家の前で3人と握手)どうもありがとうございました」

完。

(2006/02/14記)


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