レビュー53 



その67 『有吉弘行 初の単独シークレットライブ Part2』
       〜今を生き抜くビジネス講座〜
        (一発屋芸人にならないための10の格言)
 (高田馬場アートボックスホール)2007/10/26(金)17:00-18:30


 『内村さまぁ〜ず』(ミランカ PC-TV)収録
 出演 有吉弘行 内村光良 さまぁ〜ず
 ・猫男爵の前説
 ・有吉弘行 初の単独シークレットライブ(啓蒙セミナー)
  1 折れ線グラフに見る私の芸能人生
  2 今を生き抜くビジネス講座
   (一発屋芸人にならないための10の格言)
 ・有吉脳内メーカー
 ・さまぁ〜ずvs有吉 大喜利対決
 ・一発ギャグ


◆今を生き抜くビジネス講座

「さあ、それでは時間もありますから、続いての演目に移りたいと思います。続いての演目はこちらでございます。『今を生き抜くビジネス講座』!」(拍手)

「えー、わたくし、このグラフのとおり、一発屋としてもう10年ぐらい生きてきまして、わたくしの経験を、若手の、今から出てくる一発屋の皆さん、そして(ここにいる)皆さんにも一発屋芸人になってほしくないですし(笑)、ぜひ、わたくしが今から言う格言をおぼえて帰ってくれれば、皆さんも一発屋芸人にならずに済みますし、タメになるかな、と。なんか、生活のね。今から普通の社会生活で役立ててほしいなというふうに思っております。ね」


◇音楽番組ではしゃがない

「それでは早速、格言のほうにいってみたいと思います。さ、まず一つ目の格言、こちらでございます。はい。『音楽番組ではしゃがない』。これは重要でございます。音楽番組なんかに出ますと、周りに芸人さんがいませんから、メンツ見て、『あ、この中では俺がいちばん面白いんじゃないかな』とか、そこでついついはしゃぎすぎがちです」

「しかし、音楽業界にも面白い人はいっぱいいます。さだまさしさんみたいに面白い人、います。そういう人たちが、僕なんかがはしゃいでいると、『なんだ、あいつは。つまんないヤツがギャーギャーギャーギャー騒ぎやがって』とか。あと、タモさんとかにもイヤな顔されます」

「音楽番組ではしゃがない、これは重要です。音楽番組では緊張したフリをして黙っているというのが、いちばんいい手段なんじゃないでしょうか。笑いを取ろうとせずとも、歌を歌えば笑いが取れるわけですから。音楽番組ではしゃがないっていうのが、いちばん大事でございます」


◇ここだけの話をどこでもする

「次の格言でございます。『ここだけの話をどこででもする』。一発屋になりますと、いろんな番組のオファーが確かに来ます。ね。徹子の部屋、テレフォンショッキング、おしゃれ関係、有名なトーク番組ありますけれども、そこで毎回言われるのが、『うちの番組だけでも面白い話ひとつお願いします』と。『ここだけの話ひとつお願いしますよ、未発表の』」

「と、言われますけど、そんな無いです、僕ごとき芸人が。そんな面白い話は、もういちばん初めに出た番組でやっちゃいます。いちばん面白いネタをそこに持っていくわけですから。ですから、次に発表する話はクオリティがどんどんどんどん下がる、面白くない話になっていくわけです。それを調子こいてやってると、どんどんどんどんその番組見た人が、『つまんねえな』っていう話になりますから、平気な顔をして、『ここだけの話』をどこででも、おんなじ話をするという、気概を持っていただきたい」


◇売れたら負け

「さっ、続いて三つ目の格言ですね。『売れたら負け』と。これはやはり、『一発屋芸人』と蔑まれたくないんです、みんな。だったら、売れなければいい。売れそうになったら露出を避ける。ね。恥かかなくて済みますから。そうでしょ。実力もないのに売れたらダメです。これは気をつけて下さい、皆さんも、です。ね」


◇私語を控える

「これは一般社会でも同じですけれども、私語をすると、やはり気分悪いです。ほんとに大物の芸人さんとかは面白い私語をしますから、いいですけれども、僕らみたいなもんが私語してたら、ほんとにディレクターさんなんかがイヤな顔をしますし。番組中でもそうです。みんないっぱいの芸人さんがいて、自分の出番じゃないときに、こうコチョコチョ、コチョコチョ私語をしてると、面白い芸人さんと私語をしてるわけですから、ついつい笑っちゃいます、『へへへ』って」(笑)

「そうすると、司会者の人が、『お、どうした?なんか面白い話でもあるのか?』と、こう反応してきます。そのときに、その、された面白い話を司会者の人に同じように面白く伝える実力がありませんので、私語するなよ、ということですね」


◇誰とでも初対面のフリをする

「五つ目ですね。『誰とでも初対面のフリをする』。これは一発屋にとって非常に大事なことですね。やはり映画やドラマ、歌、いろんな番組に出ます、この一発屋時代には。売れてる時代には。ね。しかし一発屋ですから、当分ありません。そこの役者さんとかと共演することは、なかなかありません。5年後ぐらいに、なんか廊下で会ったりします」

「そのときには、『お久しぶりです!』って言わないこと、絶対に。『あ、どうも太田プロの有吉です…』と言わなければいけない。ここで『お久しぶりです』って言うと、相手の役者さんがやっぱ気をつかってくれて、『どう最近?』と聞いてきてくれます。そのときに一発屋の答えは、『いや、全然です』しかないわけですから、非常に相手が不快な思いをしますし、相手に失礼ですから、ここは元気よく初対面のフリをして、バカなフリをしておくほうがいいんではないかと思います」


◇すぐに帰宅するように心がける

「そして、『すぐ帰宅するように心がける』。これはそうですね、もう芸人さんといっぱい仕事していると、面白いお話をいっぱいうかがいますから、ついつい楽屋に長居したり、スタッフさんとお話をしたくなったりしますけれども、しかし、そこは一発屋です。あんまりダラダラしてると、こいつ仕事をほしいんじゃないかと、めめしいヤツだなと、こんなヤツに仕事あげませんよ、なんなら楽屋泥棒をするんじゃないかと、怪しまれたりする可能性もあります」

「やっぱ、楽屋泥棒と思われたくないですし、楽屋泥棒であっても楽屋泥棒と思われたくないわけです。そこはやはり、すっぱりと帰ると。そのほうが潔いですよ。ね。さっと風のように去っていくということを心がける」


◇「いつもラジオ聞いてます」と言ってみる

「これ大事です。『いつもラジオ聞いてます』と言ってみる。(笑) これは、ラジオというのは芸人さんは特別の思いでやってらっしゃる方が多いです。ほんとに素の部分を大事にして、ほんとに自分のラジオでハネを伸ばしたいという思いでやっています。そしてテレビと違って、ラジオを聞いている人は人数も少ないですから、『ラジオ聞いてますよ』と言われることはなかなかないです。これを言うと、『あ、俺のことをほんとに好きなんだな、嬉しいね』ってなる。そしてラジオでは意外とこの出演者、力もってますから、『じゃ今度、チラっと遊びにくる?』という話が出てきます」(笑)

「ですから、これは必ず言うべき。聞いてなくても言うべきです。『じゃ今度、来てよ』って言った後に、その人のラジオ聞いてみればいいわけです、1回、2回。そしていちばん最新の情報をチラっと言うわけですよ。『あのハガキ職人、面白いですね』とか言うと、『あ、聞いてくれてるんだ』ってなりますから、これは仕事を一つ増やすテクニックではあります」


◇すべてゆだねる

「さ、そして、これは『すべてゆだねる』。一発屋なんかになってるヤツは、たいした芸もないですし、面白くないから、こういうふうに沈んでいるわけです。ですから、自分の意見なんて持たない。ね。『こういうふうにやりたい』とか、『これが面白いんじゃないか』とか、言わない。なんでも『ハイ』。『やります、ハイ』と。スタッフさん、先輩芸人さん、よっぽど面白いわけですから、猫のメイクしろって言われたら猫のメイクする。お風呂入っとけばいいんだって言われたらお風呂入っとく。旅をしとけばいいって言われたら旅をしとくと。自分の考えなんて要らないんです、この芸能界は。『すべてゆだねる』。それが重要じゃないでしょうか」


◇グラビアアイドルにライバル心を燃やさない

「さ、これも大事です。『グラビアアイドルにライバル心を燃やさない』。これはやっぱりグラビアアイドルっていうのは若いころ人気ありますから、『芸能界入って2、3年です』っていう子がポーンと出てきて、大物司会者とかにも、ちょっと下心も含め、やさしくされたりとか、チラっと考えのないこと言っただけで『面白いね』とか言われます。ま、そこそこ努力はしてるんだと思いますよ。だけど、芸人に比べて笑いのこと考えてるかっていえば、考えてるわけないですから、こんなもん。そんなヤツですから、イヤでしょう」

「で、こいつらはやっぱりね、獲物を狙うキツネみたいな目してます、みんな。売れてるヤツらになればなるほど。大物司会者を狙うキツネのような目をしています、こいつらは。ですから、僕らみたいな腐った死体を食べようとはしません。ですから、すごい汚いものを見る顔で見てきますけれども、そこでいちいちカリカリしてたらダメなんです。これはこう思うことです。『グラビアアイドルなんて、もう、すぐ消えるよ』と。(笑) 僕なんかよりも偉そうにしてて売れてて、僕よりも早くやめてったグラビアアイドルなんてゴマンといます。ですから、これはあんまりライバル心燃やさないということですね」


◇出川さんに秘密を話さない

「そして、『出川さんに秘密を話さない』。これは芸能界を生きていく上では大変重要なんですけれども、出川さんというのは、ああいう感じの人ですから、すごく気もやさしいですし、お話も聞いてくれる方なんですけれども、顔でわかるように、コソ泥みたいな顔してますけどね。出川さんというのは、大体、『ここだけの話だけどね』、『ここだけの話なんだけど』で始まるお話をしてくるわけですね」

「ということは自分の秘密も、ほかの場所で、『ここだけの話だけど』と暴露されてるわけです。ね。そして、この人はほんとに、ここだけの人に向けて、ある人の秘密をほんとにイヤな感じで伝えるんですね。これは大変危険ですから、出川さんには心を開かない、秘密を話さない、お話をしないということを心がけていただければ、皆さんも立派な芸人になれる、と。一発屋にならずに済むぞ、ということでございます」

「ぜひ、これをビジネスに役立てていただきたいなというふうに思います。はい、以上、わたくしの10の格言でした」(拍手)



(2007/12/20記)


BACK