俺の創作活動(番外編!!)

な ぜなにうぃざーずくれすと

というわけで、なぜなにうぃざーずくれすとの始まりだ。
まず、なにが目的なのかお話しよう。
『俺の創作活動』において核となる魔法アイテムウィザーズクレストだが、本編中で説明するには長くなりすぎるので番外を打って説明してしまおうというのが なぜなにうぃざーずくれすとの主旨である。
面倒だとか、興味ないという人は、さっさと他のページを開くことにしたほうがいい。
無駄に長いからな。
とりあえず、司会はこの俺、主人公にして最強の魔法使い五月雨光喜が務めさせていただく。
アシスタントとして、るりかの奴も呼んである。
「なんか紹介がひどいよぉ」
手をオーバーにぶんぶん振って、頭をガクンガクンさせて言うるりか。
なにがひどい。
「だって、きちんと名前ぇ」
細かい奴だな。
「細かくないよぉ。そんなだから、私の苗字を間違えちゃうんだよぉ」
ぐ……それは、もう修正済みだぞ。
大体、読者には見えないからといって、なんだ、その姿は?
「えぇ、何か変かなぁ?」
どこが変じゃないんだ。
今俺の横には、身長40センチぐらいのるりかが浮かんでいる。正確には下から針金で支えてもらっているんだが……。
口の両端から顎のほうに向かって二本の線が走っている。
要するに、人形のるりかが隣に浮いているって事だ。
問題なのは、妙に血色が良くて、本物のるりかそっくりな容姿をしていることか。
何かしゃべるたびに妙に真っ赤な口がその縦線に沿って開くものだから、めちゃめちゃ怖い。
子供が見たら絶対泣く。
仕方ないので、それを操りながら声だけ出しているるりかを見やるが、ぶんぶん首を振ってやがる。人形が手を交差させてバッテンまで作りやがるし。
あくまでこのスタイルを貫きたいらしい。
しかし、女の子がこうして台の下に隠れているというこのシチュエーション的には、そのまま一物でもしゃぶってもらいたくなるのだが……。
ぎぁっ!!
不埒なことを考えた途端、るりかが俺のすねをアーティファクトのハンマーで殴りつけやかった……。
く、くくくぅ……。
さ、さて、それでは、ウィザーズクレストの説明に入ろうか。
「む、我慢強いね、光喜ちゃん」
うるさい、黙ってろ。あいてて……。
ごほん。ウィザーズクレストというのは、本来は魔法書のようなものでそこには異世界人の研鑽の証が刻み付けられている。
だが、彼らの世界とこちらの世界ではそもそも法則が違うので、そのままだと呪文を唱えたって、魔法を使うことは出来やしない。
そこで、本来的にはウィザーズクレストの付加価値である能力が重要になる。
「異世界の法則を引っ張り込む力、だねぇ?」
その通り。
ウィザーズクレストは、簡易的な結界の様なものを展開することによって、異世界の法則と、この世界の法則を重ね合わせることが出来る。
これは使い手の魔力や技量によって、影響を及ぼす範囲が変化する。
ちなみに『魔力』に関しては、細かく説明するのは困難だから、まあ、ゲームとかにあるようなものそのもののイメージでいい。それを使う元は精神力だから、 精神力そのものと考えてもらっても問題ない。便宜上魔力と呼んでいるだけの話だしな。
ともあれ、そうして、形成された異世界の法則内部で呪文を唱えることにより、シンボルの持ち主は魔法を使用することが出来るというわけだ。
また、ウィザーズクレストは、その使い手に従属し、他者が占有しても、その力を使うことは不可能である。
もっとも、半物質と呼ばれるウィザーズクレストは、見ることぐらいしか普通には出来ないので、奪われる心配などほとんど無いのだが。
ではどうやって持ち運びするかというと、そんな心配はまったく不要である。
契約者の精神と深く結びついているウィザーズクレストは、本人が呼び出せばいついかなるときでも手元に現れるのだ。
落っことすとか、盗まれるとかは考えなくてもいい。どうせ他人にはどうすることも出来ないんだから。
もっとも顕現させておいて放置すれば騒ぎになることは間違いないだろうけどな。
「じゃあアーティファクトはぁ?」
うむ、じゃあ次はアーティファクトについて詳しく説明するか。
各シンボルはリアライズ(物質化)させることによって特殊な形状へと移行する。それがアーティファクトだ。
アーティファクトの使用目的はまず第一に、魔法を使いやすくすることにある。
「えーと、アーティファクトを使うと魔法が強くなるの?」
いや、そういうことじゃなくて、精神集中を助ける役割があるんだ。
お話の中なんかで出てくる『魔術師の杖』みたいなもんだな。
「どうしてぇ?」
まず、魔法を使うのはウィザーズクレストを使う。
「うん」
だけど、さっきも言ったとおりウィザーズクレストは触れない。
「そうだねえぇ」
るりかみたいに異世界の人間やこの世界でも魔法使いの資質を持つ志乃なんかは精神的に魔法に近しいから、ウィザーズクレストをそんなに希薄に感じないけ ど、普通の人間だと触ることも出来ないものに対して意識を集中するのはかなり難しい。
「そぉなの?」
そうなの。
だから、アーティファクトという物質にすることで精神集中の焦点がウィザーズクレストに合いやすくするんだ。
特に戦闘なんかで激しく動き回っているときは、ウィザーズクレストの感覚をたどりにくいので重宝する。
「光喜ちゃんも?」
そうだな、アーティファクトのほうがやはり扱いやすいぞ。
「でも、アーティファクトの利点ってそれだけじゃないよねぇ」
もちろんだ。
まず、武器やアイテムとして非常に強固である(アーティファクト同士の激突以外では破壊されないし、また、破壊されても再度リアライズすることで元に戻 る)こと。それ自体にはいかなる魔法も通用しないこと。
そして、いくつかの特殊能力を備えていることである。
特殊能力はそれぞれのシンボルに関連した力が付属されているものが多い。
中には、使い手の魔力をエンハンス(強化)する効果を持つものもあるな。
「光喜ちゃん光喜ちゃん」
ん、なんだ、るりか。
「ところでウィザーズクレストって、いくつあるのぉ?」
それは、作品中でも語られているぞ。全部で13個だ。
昔はもっと数があったらしいんだが、るりかの爺さんがもってくる際に失ってしまったものや、もっと古くから失われていたものとかもあって現在では13個し かない。
「13個……えんちゃんとぉにぃ、くりえいとぉ……うーん、今まで出てきたの合わせても13個ないよ?」
うむ。それでは、現存する13個のウィザーズクレストを列挙しよう。
クリエイト、エンチャント、トランスファー、エレメント、カース、イレイズ、サモン、ヒュプノ、イリュージョン、サーチ、ブラスト、ヴィシャス、そして、 マスター。
「イリュージョンとヴィシャスとブラストとマスターってのはまだ聞いたことないね」
どれも強力なシンボルだぞ。イリュージョンは幻覚、ヴィシャスは変化、ブラストは破壊、マスターは……。
「マスターは?」
ちょっと特殊なので後ほど詳しく説明しよう。
「ふうん。ところで、たくさんあるのはわかったけど、それぞれのウィザーズクレストはなにがどう違うの?」
実は、マスターシンボル以外はどれもこれもたいした違いは無い。だけど、一箇所だけ明確な違いがある。
「なぁにぃ?」
引っ張り込める異世界の法則の性質だ。
「異世界の法則は異世界の法則じゃないの?」
ここが一番肝の話になるんで少し難しいが、頑張って理解してくれよ。
まず、ウィザーズクレストにはたくさんの呪文が掲載されている。持ち主はそれをいつでも参照、閲覧することが可能だ。
そして、マスターシンボルも含め掲載されている呪文に違いは一切無い。
「えぇぇーっ、そうなのぉ?」
……さっきからわざとらしいぞ、るりか。
「ぶーぅ、そんなこと言ったらお話が進まないでしょぉ」
そりゃそうなんだが。
ま、つまり呪文書としての性能には差は無いが、使える魔法には差ができるって事だ。
「うぅん。よくわかんないよぉ」
たとえばだ。良くRPGなんかでファイアーボールという呪文があるよな。
もちろんそのものずばりの名前ではないが。
「火の玉を作り出して攻撃する呪文だね?」
そうだ。
もちろん似たような呪文がすべてのウィザーズクレストで参照できる。
だけど、イレイズシンボルでは、火の玉を作り出し爆発させるなんて魔法は使えない。イレイズシンボルは何かを消去する形でしか魔法を使えないからだ。
それが、引き込める法則の違いというやつだな。
サーチシンボルも、そのような能動的な使い方には向かない。
普通にファイアーボールを使えるのは、元素を操るエレメント、破壊の現象を巻き起こすブラストの二つだろう。
「でもぉ、光喜ちゃんはクリエイトシンボルでファイアーボール使えるんだよねぇ?」
もちろんだ。
クリエイトシンボルは作り出すことにしか魔法を使えないが、頭を使えばファイアーボールと同じ効果は得られるのだ。
常温で発火し、爆発的に燃焼する物質を目標間近に作り出せばいい。作り出すときの構造は術者の思いのままなので丸く並べた火薬の中心に常温発火物質を据え た構造で作り出せば、花火だって見られる。
同様に、ヴィシャスシンボルもその場の空気を変質することによって、クリエイトシンボルによるファイアーボールと変わらぬものを出現させられる。
また、サモンシンボルを使えば瞬間的に太陽の中心部を召還することにより、辺りを焼き尽くすなんて真似も出来る。
エンチャントシンボルに至ってはあらゆる魔法をアイテムに内包させることが出来るのだから、火の玉を打ち出す杖など作ってやればいい。
ヒュプノと、イリュージョンは対人的には同等の力を見せることは出来るが、対物的には無理だ。
理解できたか?
「なんとなくはぁ。でも、いまいちそれぞれのシンボルでなにが出来るのかわかりにくいかもぉ」
よし、じゃあ今度は個別にもう少し詳しく各シンボルを説明してやろう。

まずクリエイト(創造)シンボル。言わずもがなの俺のウィザーズクレストだ。
名前の通り何かを作り出す法則をこの世界に引き込める。
ただし、基本的には何かを作る所までしか出来ない。
たとえば先ほどのファイアーボールにしろ作り出した後は、それを敵にぶつけるのは自力でしなくちゃいけないわけだ。
普通に考えれば、ファイアーボール作ってもいきなり下に落ちてその辺一帯焼け野原って事態になるだけだろうな。まあ、魔法ってのは頭の使いようでなんとで もなるから、目的にそった使い方をすればいいだけだがな。
後、作り出した物質の状態が異常(もしくは本来この世界には存在しない物質)である場合、それを維持するために多少の魔法的要素は残るが、それ以外は基本 的に魔法的な特性を保てない。
つまり、基本的に作った後はこの世界の法則に準じることになる。
ただ、本来なら、作ることが出来ないものでも、その後自然に存在していけるものなら俺は何でも作れるということだな。理論だけで実用化できない代物なんか も俺の手にかかれば実用化可能というわけだ。
「あれぇ? でも、そうするとこれまでのお話で説明つかないことがいくつかあるような……」
魔法の非常識さでは遙に上のお前に言われたくないわい。
んー、まあ、しかしだ。もしかしたらこのなぜなにうぃざーずくれすとを最後まで読めばその辺の理由がわかる人間はわかるかもな。
ちなみにアーティファクトの形態および名前はまだ秘密だ。
「光喜ちゃんのけちぃ」
うるさいな。次行くぞ。

次にトランスファー(移動)シンボル。使い手はレイチェルだ。
移動とは言うものの、実際はあらゆる物質の運動に干渉する力をもっているかなり強力なシンボルだ。
「うーん、どう違うの?」
馬鹿だな、移動することだけじゃなくて、物質の運動に干渉することが出来るってことは、止めることも可能だってことさ。
「それはわかるけどぉ、それだけなのぉ?」
じゃあさっきの例で話をしようか。実はトランスファーシンボルでもファイアーボールは作れるんだ。
「ええぇっ?」
驚くなよ。いいか、るりか。魔術師に必要なのは発想力だって何度も言ってるだろ。それと、法則に対する理解力だな。
つまりだ。物質が燃え上がる現象ってのは、物体が高温だから起こる現象だな。
そして、物体が高温になるってことは、分子の動きが加速されてるって事だ。つまりは運動させるってことなんだよ。
「ぅ、うぅぅ? 光喜ちゃんもう少し優しく喋ってよぉ。私達高校生なんだよ?」
あー、つまり、なんだな。ほら、手を擦ると熱くなるだろ。それをもっと小さな単位でめちゃくちゃ激しくやるから火がつくんだ。
……厳密には違うような気もするが、面倒だからこんな感じでいいだろ。
「……私じゃ出来そうにないねぇ」
まあな、この理論がきっちりと頭に入ってないやつがトランスファーシンボルを使っても火は起こせないな。
このあたりが魔術師に必要な知識と思考の柔軟性ってことだな。
まあ、トランスファーシンボルの真骨頂は肉体加速や、テレポートなどの利便性にあるのは確かだな。
実際レイチェルにも上記のファイアーボールは作れんし。
「もう、それだったら話さなくてもいいのにぃ、混乱するだけだよぅ」
そうかな。まあ、わからない人は忘れてくれ。
ちなみにレイチェルが使った場合のアーティファクトはディメンジョンロープというアイテムだ。
「珍しいよね。武器とかじゃないのはぁ」
まあな。特殊能力が加わると心底恐ろしい武器だったりするけどな。
きょとんとするな。ロープったって、先端にゃ尖った鏃みたいなもんがくっついてるし、割と細くて頑丈だからな。
「うーん、でもロープなんでしょぅ?」
忘れるなよ、持ってるのがトランスファーシンボルだってことを。まあ、必中といっていいだろうな。
「あ、そっかぁ」
それに特殊能力は、ロープで作った円を通り過ぎるものを任意の場所にテレポートさせるって代物だからな。
「なんかずいぶん便利な能力だねぇ」
そうだな。まあ、インフィニとノワールゼロ合わせても強いほうだと思うぞ、レイチェルは。

さて、次は……エンチャント(魔法付加)シンボルにしておくか。
「はいはいはーいぃ。これを説明するのは私の仕事だよねぇ」
ん、んーむー……。
「なぁにぃ? 何か不満なのぉ?」
いや、まあいいが。
「なんだか、煮え切らないねぇ。でも、とにかく説明するねぇ」
「エンチャントシンボルはぁ、アイテムにいろんな魔法的な付加能力をつける法則を引き出す力を持ってる、ってことになるのかなぁ」
まあ、そうだな。
「でもぉ、あらゆる魔法的能力を付加できるから、他の魔法に比べてもかなり適用範囲が広いんだよねぇ」
万能性で言えば12シンボルの中で1、2を争うな。
「ただ、あくまでアイテムにそういう能力を付加することが出来る能力だからぁ、緊急時にはあまり役に立たないんだよねぇ」
使いたい魔法をアイテムに付加させて、それからその能力を発動するという手順を踏まないといけないからな。
だけど、普段からの備えあれば憂いなしのかなり優秀なシンボルだといえるな。
「うん。でもってぇアーティファクトはほいっぽんはんまぁだよ。叩いたものに命を与えたり大きくしたり分裂したりぃ、いろんなことが出来る優れもののアー ティファクトだよ。攻撃力とかは実はほとんどないんだけどねぇ」
…………。
いいのか、これで?
「どうしたのぉ光喜ちゃん」
いや、まあ、悪いのは俺じゃないからな。るりかが勝手に説明したわけで、俺はこの件については一切のクレームを受け付けないぞ。
読者がこの件をどんな風に受け取っても、クレームはるりかにしてくれよ。
「ん? んんんぅ?」
だから、人形は無視してるんだから、不思議そうな顔させて俺の顔にそんなに近づけるなっ。
「ぶぅー横暴だよぉ」
いいから次行くぞ。

次はイレイズ(消去)シンボルにしよう。
「連続でインフイニのシンボルだね」
ああ。使い手はもう知られているが、弓剣美氷。
効果は解除、解放、消去等の法則を引き込むことだ。
解除とか解放というのは言葉どおりで、罠や鍵の解除、戒めからの解放という特殊状況下において威力を発揮する。
消去については作品を読んでいる人間にはもうある程度は理解されているだろうが、基本的には魔法に関するものだ。ただ、実際の物質なんかを消滅させる事も 出来なくはないが、一段上の実力を必要とする。
「美氷ちゃんには出来るよね」
うむ。だけど、この世界の法則との相性が悪くてな、魔法消去に対するよりも魔力の消費なんかも格段に上がっちまうという欠点がある。
それにイレイズシンボルは他のシンボルと比べて発展性が少ない。
魔術師同士の戦闘では魔法消去ってのは意表をつくワイルドカードになるから、それに限って言えば強力と言えるが、逆に言えば自分からの能動的な魔法使用に はほとんど意味がない。
「そうだよね。それなのにインフィニで美氷ちゃんがエースなのは美氷ちゃん自体の能力が凄いってことだよねぇ」
ニコニコとしてなにが嬉しいんだ。
「えぇ、だってぇお友達が褒められるんだもん、嬉しいよう」
……少しはライバル心を持つとかそういう気概はないのか。
「いいんだよ、私達は協力して戦うんだからぁ」
……はぁ。まあ、仕方ないか。
「あーなんか、投げやりだなぁ」
まあ、美氷の能力が高いのは俺も認める所だけどな。
「でしょでしょぉ?」
だけど、エースの実力の半分くらいはアーティファクト『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』の力だと思うぞ。
「そうだねぇ。確かにあの銃は強いよね」
何せ、アーティファクトの特性を持った銃弾を発射するんだからな。威力という点だけで言っても、並みの携行兵器じゃ敵わんよな。
しかもその銃弾はあらゆる魔法を消去し、あらゆる物質をも消去して貫通する、回避以外の手段では防御することが不可能と来てるからな。
「うんうん♪」
わざわざ音符までつけて喜びおって。
……まあ、一つ防御する方法がないでもないが、まあそれは置いておこう。
とにかくイレイズシンボルは出来ることと出来ないことの差がかなり激しいシンボルということだ。

次はそうだな、サモン(召喚)シンボルにするか。
「本当は水萌ちゃんの持ってたシンボルだねぇ」
まあ、今の持ち主はエルシーだが。
「エルシーって、LCなのかなあ?」
さあな、それは俺には良くわからん。というか、LCってのはなんなんだ。
「えーと液クロ?」
そういう化学分析関係者しかわからんようなネタを、良く知りもしないるりかに振らせるな○○。
大体、今は使い手の話じゃなくて、シンボルの話をするべきだろ。
「そうだねぇ」
えーとだな、サモンシンボルは基本的に遠くから何かを呼び寄せる能力を持つ。そういう法則を引き込むんだが、異世界から化け物を召喚する能力も持っている んで、法則以外のものを呼び寄せるという、理論的にはちょっとわかりにくいシンボルだ。
強いシンボルではあるんだが、その効果が呼び出したもの次第という、非常に安定性にかける魔法といえる。
その代わり、運がよければ望外の効果を引き起こせる事もあるというわけだ。
生物を持ったものを召喚した場合、そのものには自動的に支配の強制力が働き、召喚者の命令に忠実に働く。
某大作RPGみたいに攻撃するときだけ出てきて相手になんかして去っていくということも可能は可能だが、呼び出した後即帰すのも、何日も働かせてから帰す のもほとんど魔力の消費は変わらないから、そんな馬鹿な使い方をすることはまずないだろう。
「でも、この魔法って美氷ちゃんのシンボルと相性が悪いんだよね」
その通りだな。何せ、呼び出されたものはこの世ならざるものだから、イレイズシンボルの効果で簡単に送り返されてしまう。
アーティファクトはサディスティックドミナという名の鞭だ。深刻な精神的ダメージを与えて、相手を言いなりにする、どちらかというとヒュプノシンボルの アーティファクトにありそうな効果を持ってるな。
サキュバスのエルシーらしいといえばその通りのアーティファクトだ。名前も名前だしな。
「水萌ちゃんの時のアーティファクトは、ゲートオープナーって言う小刀だったねぇ」
うむ、割と驚異的なアイテムで、切りつけた空間から術者の能力を無視して何らかの生物がわらわら召喚されるという……。
問題はなにが召喚されるかは運次第という所だったが。

では、次はカースシンボル。
魔術師の一面をあらわすかなり重要なシンボルの一つだ。
もっとも、イメージは最悪だし、使い方は難しいし、その割に効果は対象に左右されやすい。
ただ、割と万能性があるし、ある種の欺瞞も通用するので一定以上の能力を持った魔術師なら重宝するシンボルだ。
てなわけで、こっちの世界の魔術師としても力のある志乃にはうってつけだな。
「というか、志乃さん以外の人には使いこなせない気がするよぉ」
まあな。とりあえず、上記の欺瞞とはどういうものかについて説明しておこう。
対象を呪う効果しかないが、たとえば相手が息子に殺されると呪った場合、相手は確実に息子に殺されるだろうが、逆に言えば……息子以外には殺されなくな る。
もちろん、その効果は呪いの強度によるので、完璧ではないが魔法的改変力を持たない存在にはほぼ絶対な意味を持つと言って良いだろう。
「この間使ってた結界も呪いの利用法の一つだよね」
ああ、あれは空間に呪いをかけて外に出られなくするというやり方だったな。
本来は人間などを対称にするのが呪いの基本的な使い方だが、そういう応用もありというわけだ。というか、そういう思考の柔軟性がなければカースシンボルを 使いこなすことは出来ないだろう。
志乃のアーティファクトは月華夢残。弦の鳴る音だけで呪文を発動させたり、怨霊の矢などを打ち出すことが出来る。特殊能力というよりはカースシンボルの効 果を手っ取り早く引き出しているといった感じだ。
まあ、志乃にはそれで十分だろう。
ちなみに俺が使用したときのアーティファクトが『無常』だ。感情を奪われる代わりに身体能力、および魔法抵抗力が飛躍的に上昇する。そして、鎌によって傷 つけられたものは、生命力を吸われて数時間で死に至るという、ちょっと使いどころが難しいというか、使えないというか。
大体せっかくの戦いの場で、楽しめなくなるのがいただけん。
「まるで戦闘狂みたいな台詞だよぉ、どうしてそんなに戦いたがるのかなぁ」
文句が多いぞるりか。
「ふーんだぁ」
まったく、次に行くぞ。

次はサーチ(探索)シンボルだ。
使い手は兼島玲。
要するにレーダーみたいな能力というか法則を引き込める。あと、伝達に関する魔法もだ。
わかりやすい所で言うと、魔力感知や、テレパシーといった力を使うのが主だな。
もちろん、その性質上戦い自体は苦手なのだが、情報を知るということは一対一では効果は薄くとも多人数同士の戦いとなればなかなか侮れない。
こういう役割の人間がリーダーの傍にいるとチーム全体の効率が上がるだろう。
アーティファクトはマイク、イヤホン、片眼鏡のディスプレイのあるヘッドセット『フォーテル』だ。
いかにも情報収集、分析担当らしいアーティファクトだな。
「これも武器って感じじゃないよね」
んー、だがこのフォーテルには恐るべき力があるからな。
某ゲームブックに出てくるHOWみたいな能力があるのだ。
わからん? まあ普通の人はそうだろうな。
どんなものかというと、サーチシンボルが辺りから集めた情報を総合的に判断し、それに対してどう動けばいいか最良の選択肢を示してくれる。
言ってみればサーチシンボルの『勘』だ。
勘といっても馬鹿にしたもんじゃない。勘というのは無意識の状況判断だという話もあるように、それが膨大な情報を手にするサーチシンボルのもたらすものな らば、その確度は高いなんてものじゃないはずだ。
ほとんど未来予知といってもいい。
かなりの確率で当たる未来予知をし、それに対する行動指示を出してくれるというのだから、敵からすれば厄介極まりないな。
そんなわけだから正攻法以外はあまり通用しない相手だな。
るりかも今度ポーカーでも麻雀でもやってみろ、あいつがその能力をつかったら100%勝てないから。
「負けるとわかっててそんなことしないよぉ。それに私麻雀のやり方なんて知らないもん」
そうだったか。じゃあ今度教えてやろうか。
「いいもん、私光喜ちゃんに搾り取られる気もないもぉん」
ちっ。
「いいから、次に行こうよぉ」

じゃあ次はヒュプノ(催眠)シンボル。
使い手はシーリス(椎原林檎)だな。
「う゛ーう゛ー」
なに唸ってるんだるりか。
「だってぇ、この人の所為で私ぃ……」
なんだ、なんかされたのか?
「うっ、う、ううんううん、なんでもないよぅ……」
本当の所言えば知ってるけどな、まあ言うとそれはそれで可哀想だからな。
じゃあ、早い所先に進めるからな。
ヒュプノシンボルは人の精神に干渉する法則を引き込むシンボルだ。
その名の通り人を眠らせたり、精神を活性化させたり効果はさまざまで使い勝手のある呪文だが、弱点もある。
あくまで対象は人か人に類する精神を持っている者にしか効かないと言うところだ。
それに、魔術師同士の戦いではそうやすやすと相手の心を操作することは難しく、そういう意味ではあまり戦いには向かない。
もっとも、相手の意表をつけばその効果は絶大で、間違いなく有用なシンボルだ。
「これをまだ光喜ちゃんが持っている頃に、都市の人を集団睡眠させたんだよねぇ」
例の事件(5.5話参照)か。まあ、そうだな。
「でも、てっきり光喜ちゃんはこのシンボル手放さないと思ってたよぉ」
なぜだ?
「え、だってぇ、その……エッチなことたくさんできるから」
……。
「えと、あのぉ?」
…………。
ぐわぁあああー!
「ひぅっ。ご、ごめんなさいごめんなさいぃ光喜ちゃん」
い、いやいい。
くそ、恥ずかしそうなるりかが可愛くて襲ってやろうかと思ったとは言えん。
まあ、確かにその手のことに利用するには向いているよな。
「うん……実際にたくさん変なことされたもぉん」
だからそんな顔すんなっつーの。なにを思い出してるんだこやつは。
「え?」
いや、なんでもないから。
アーティファクトは『堕倫環』と言う名の二組のチャクラムだ。
「チャクラムってなぁに?」
チャクラムっていうのはな、外側に刃のついたわっかの形をした武器だ。内側の刃がないところに指を入れてくるくる回しながら投げつけるという代物だ。
「へえ、なんか変わった武器だねぇ」
殺傷能力はかなり低いし、忍者の持つ手裏剣とかと同じようなもんだと思えばいい。
「え、手裏剣ってすごく強いんじゃないのぅ?」
どうしてそうなる。あんなもの毒でも塗ってなければ、当たり所が悪くない限りたいしたダメージにはならないぞ。
「そうなの? でも、ほら◎◎Vとかだとすごく強い武器だし……」
ゲームの常識を実際に当てはめるな!
というか、良くそんなゲームの話を知ってたな、るりか。
「教えてくれたのは光喜ちゃんだよぉ。ゲームも私に無理やり押し付けていったんじゃない、もぉう」
ていうか、あれまだやってたのかよ。いつの話だと思ってるんだ。
「まだエンディング見てないの。苦手なんだもん、ああいうのぉ」
ともかく、威力はたいしたことがないんだ、チャクラムってのは。
「じゃあこのアーティファクトも?」
そうだな、武器としてはたいした使い道がないと思うぞ。投げた後戻ってくるぐらいはできるけどな。
「つまりぃ、ちょっと変わった特殊能力があるってことだよねぇ」
まあ、そうだな。だがその件に関しては秘密だ。そのうち明かされることもあるだろ。
「えー、またぁ? ずるいよぉう。そっちのシンボルばっかり秘密が多くて」
何でもかんでもばらしていたら面白みがないだろう。
「じゃあ、こっちも譲ちゃんのアトミニオンレイピアと、茜さんの海奥鏡(かいおうきょう)の特殊能力は秘密だからねぇ」
アトミニオンレイピアは既にばれているも同然だと思うのだが。
「うぅー。でも、秘密秘密秘密なのぉ」
しかし、るりかよ。本当にお前って頭悪そうな喋り方するよなあ。
「なっ!」
だって本当のことだろ。
「酷いよぉ。私だって普通にしゃべってるつもりだもん。でも、私達の……っていうか、異世界の言葉の発音はこっちのほうが近いからしょうがないんだよぉ」
まあ、わかっちゃ居るがな。
「はぁ。光喜ちゃんは見た目は気にしないけど、しゃべり方は気にするんだよねぇ。くすん」
嘘泣きはいいから。

話が出た所でエレメント(元素)シンボルにしておくか。
使い手は利川譲だ。
このシンボルが普通の人には一番判りやすい能力を持ってるんじゃないかな。
「そだねぇ、ゲームとかで出てくる魔法使いが使うような魔法ばっかりだからねぇ」
うむ。まあ、あらゆる元素を操る法則を引き込むのがその力なんだが、その元素ってのがこちらの言う常識とはかけ離れている、いわゆる地、水、火、風の4元 素とか五行とかの系統なので、必然そういう魔法が多くなってるんだな。
「この魔法もかなり万能性が高いよぉ。いろんな元素を組み合わせることでかなりいろいろな現象を起こせるから」
む、俺の台詞をとりやがって。
「攻撃から補助、防御、情報収集、いろんな局面で重宝するシンボルなんだよぉ」
まあ、使ってるのが譲さんだからなあ。正直そこまで使えるって感じがしないけどな。
「確かに譲さんってば攻撃大好きだもんねぇ」
とはいえ、俺のクリエイトシンボルなんかだと、このシンボルとの相性はかなり良くないんだがな。
「うん、なんだかんだ言っても、譲さんは強いよ」
別にそれは否定しないが、あしらいやすい人だからなあ。
「そういえば、光喜ちゃんも譲さんのこと譲さんって呼ぶんだね」
まあ、あの人は一応年上だからな。普段はそう呼んでおかないとおっかないしな。
それはともかく、地、水、火、風などの現象を起こし、操り、消すことが可能なエレメントシンボルはそれ自体のポテンシャルは非常に高い。
問題は、ある程度なんでもできる分、眼が派手なものに行きがちになるということかな。
アーティファクトはアトミニオンレイピア。効果は……。
「駄目でぇす!」
っと、ととと……そういやそうだっけ。でもまあ、既に特殊能力の使用してる場面があるんだから今更だと思うけどな。
「それでも駄目ぇ」
はいはいわかりましたっと。

次はブラスト(破壊)シンボルといくか。
「うーん、このシンボルは私も誰が使ってるのか知らないんだよねぇ」
そりゃそうだ。一応こっち側の使い手だしな。
「あれぇ、そうなの? でもまだ紹介されてないよね」
まあ、この使い手にはちょっといろいろと問題があるからなあ。
多分そのうち話のクライマックスには表れてくるだろうよ。
というわけで、現在の所は使い手は秘密と。
まあ、名前からいって大体想像がつくだろうが、破壊に関するあらゆる現象を引き起こす法則を引き込むのがこのブラストシンボルだ。
「破壊ってことは創造の光喜ちゃんとは相性が悪いんだね」
作ったものを片っ端から壊されるからな。もちろんそれ所で済むわけもないし。
ただ、破壊に特化されている分イレイズシンボル並みに融通が利きにくい。
あ、そうそうウィザーズクレストに関して説明し忘れてることがあった。まあ今更こんなこと話してもあれだけどな。
「なぁに光喜ちゃん」
ウィザーズクレストにはわずかだけど意思があるんだぜ。
「え? ていうか、何でブラストシンボルの話をしているときにそんなことを思い出すのかなぁ……」
まあそれはそれさ。
「うーん、すっごく怪しいけどなにが怪しいのかわかんないぃ」
だから気にするな。
「それで、アーティファクトは?」
使い手が不明なのに言えるわけないだろ。
「えー、またなのー」
あーうるさいな、それじゃ名前だけでも教えてやるよ。
「わーいやったぁ」
アーティファクトの名前は『ZERO』だよ。
「ゼロ? ゼロ……えええ!? ゼロなのぉ?」
そう、ZEROさ。
「それって、それってどういうことなのぉ?」
ひ・み・つ。
「わーんもう、光喜ちゃんの意地悪ぅーーっ」

じゃあイリュージョン(幻覚)シンボル。
使い手は俺の従姉妹の兵頭茜さんだ。
効果はこれまでと同じで読んで字のごとく、だな。
基本的には人の感覚を操る能力と言っていいだろう。
ただ、幻覚は必ずしも個々人に掛けられる類のものではないのでヒュプノシンボルと違い抵抗されにくいという効果がある。
特に他の人間の魔術に混ぜて使われるとその効果は絶大。受ける側としてはどこまでが本当でどこまでが偽物かを判別するのは限りなく不可能に近いだろう。
また他人の感覚を操ることで秘密裏に物事を伝えることもでき、使い方は多岐にわたる。
効果自体は所詮幻覚にすぎないため万能性には欠けるが、それでも十分な力を持っているのは間違いない。
魔術師というとイリュージョニストと訳されることもある位だから、魔術にとって幻覚がいかにウェイトを持っているかというのがわかるだろう。
まあ、もっともそれは手品師としての魔術の所為かもしれないが。
だとしても、最も使い勝手のいい魔法系統の一つであることは疑いようがない。
……ん? やけに静かだな、どうかしたのか、るりか。
「つーん! だぁ」
なにをすねてんだか。
「だって光喜ちゃんずるいんだもん」
仕方ないだろう。俺としてもできる限りの情報を提供してるつもりなんだぞこれでも。
「とにかく、海奥鏡については詳しいこと話しちゃ駄目だからねぇ」
ああもう、わかったわかったよ。たく、ここで紹介しなくても俺が知ってたらあんまり意味がないと思うんだけどなあ。
というわけで、アーティファクトは前述の通り海奥鏡だが、その特殊効果や形状については
「ひぃ・みぃ・つぅ、だよ」
1、3、2か。
「うぅん?」
いや、なんでもない。

最後にヴィシャス(変化)シンボルと行くか。
「ヴィシャスシンボルにするのはかまわないけど、まだ他にも一つ残ってるよ」
ああ、マスターシンボルな。うん、まあ、あれは……。
「ちゃんと説明しないと駄目なんだよぉ」
そうだな、ごまかすわけにもいかんか。
「そうそう」
まあ、それはともかくヴィシャスシンボルだが、使い手はまだ登場してないので秘密な。
「でも、これは私も知ってるよ。確か栗鼠谷 麻美(りすたに あさみ)ちゃんだよね」
って、わぁぁっ、いきなりばらすなよっ。
「でも、どうせ読んでる人はまず知らないと思うよ」
いやまあ、そりゃそうだけどな。
まあ、彼女の詳しいプロフィールはまた当人が出てきたときにでもな。
「うん、そこまでは言うつもりないよぉ」
バラされたらやってられんわい。
というわけで、エンチャントシンボルと張るぐらいに万能性の高いシンボルの登場だ。
あらゆる物質を変化変質させるという恐るべき法則を引き込むシンボルだ。
まあ、原則としては物質自体の変化なんだが、それを応用させれば物質の変化ではなく概念の変化に対応するようにも錯覚させられる。
所詮人間は物質的な基準で物事を判断するからな。
「どういうこと?」
たとえば年齢を変化させるみたいな使い方でも可能ということさ。これは実際には異世界の魔術師たちの血の滲むような努力があったことと思うが、肉体の物質 変化で若返りを可能にするまでに研鑽された呪文が存在するってことだ。
難易度的にも最高位のシンボルなんだが、それらのおかげでかなり使い勝手も良くなっている。
マスターシンボルを除くならまずこのシンボルが最強だと言って良いと思う。
ただ、失われたシンボルに含まれていた呪文も多くてな。麻美としちゃあそこら辺の呪文が喉から手が出るほどほしいんだろうけどな。
「光喜ちゃん光喜ちゃん、そんなこといってもぉ、読んでる人にはまったく意味不明だよ」
む、すまん、それはそうだな。
アーティファクトは村雨丸だ。
「え、村雨丸って『抜けば玉散る氷の刃ぁ』ってやつだよね」
お前も時代劇なんか良くみてるな。
「麻美ちゃんの影響だもぉん」
まあ、ともかくその村雨丸だ。綺麗な日本刀だぜ。あまりにも綺麗で、なるほど、こういうのが妖刀ってやつかと思わず納得するね。
「ふうん、綺麗なのは少し見てみたいかなぁ」
特殊能力は刃に触れるあらゆるものを水に変化させる能力だ。
そのおかげで謳い文句通り、いつでも水を滴らせているというわけだ。
つまり、切れないものは存在しない。鉄ですら空気のように切り裂かれるんだ。
あれはちょっと壮観だぜ。その一方で背筋がぞっとするけどな。

じゃあ正真正銘最後のウィザーズクレスト。
マスターシンボルについて説明しよう。
と言っても名前で既にどんなものかはピンと来てるんじゃないかと思うがね。
その予想通りだ。
あらゆる魔術あらゆる呪文あらゆる法則を制限なしで呼び込み、各シンボルの上位に位置しそれゆえに下位のシンボルの魔術を無効にすることも、使い手を変更 することさえ可能な真のウィザーズクレスト。
これを持つ者こそが真の魔術師の後継者と言うわけだ。
「……っ……」
複雑そうな顔をするなよるりか。
「でも、だってぇ」
そうだな。俺がこのシンボルを持っているなら、例えインフィニのメンバー総がかりでも勝つことは不可能だよな。
そして、るりかはマスターシンボルがそういうものだということを知っているんだものな。
でも、まあ、そう悲観するなよ。そんなところで諦めてもらっても俺としては楽しくないんでな。
それとも、るりかは諦めて俺の下に来るか?
だったら前から言ってる通りいつでも歓迎するぜ。
「ううん。それは、できないよぉ」
ふ、そういうと思ったがな。
と、そういうわけで各シンボルに関する説明はこれで終わりだ。

「それじゃあ、これでおしまいだね」
ああ、なぜなにうぃざーずくれすとはこれにておしまいだ。
なんだか俺とるりかがくっちゃべって終わったような気もするが、まあいいだろ。
裏ネタまで大盤振る舞いしたしな。
「そだねぇ。でも、そろそろそれなりに話を集約させないとまずいから、いいんじゃないぃ?」
そうだな。まあ、その辺のことは『俺の創作活動』本編で。
それでは、また近いうちに。
「……本当に近いうちかなぁ?」
そういうことは突っ込むな!

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