その時その時に思った事を
綴ってみました。

駄猫戯言〈だねこのたはごと〉4
昔、死にかけました…

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なんかさあ、こう暑かったり寒かったりすると古傷が痛むんだよな…

オイラは階段降りるとき右足をヒョイと上げて三本足で駆け下りる。

右足が伸びないんだよ。

腰と太腿の骨を繋ぐ関節が砕けて無いの。

あれはオイラが三才、男真っ盛りって頃だった。

いつものように外へ出る隙を狙ってたオイラは仕事から帰ってきた飼い主が疲れた顔で洗濯物を取り込んでる間に、まんまと脱出に成功!

どうやら誰もオイラが外に出たことに気づかない様子。

シメシメ…

外は夕暮れで、ちょっと遅いがテリトリーのパトロールに出かけた。

いつもの道を一回り、さあそろそろ晩飯喰いに帰ろう─

オイラんちの前には幼稚園があって昼間は車が多いから道を横切る時は結構周りを気にする。

でも夜は車は通らないから─

出会い頭に車のへッドライトが目に飛び込んできた。

咄嗟に道路に爪を立てた。

次の瞬間物凄い衝撃が襲ってきた。

爪が全部引き抜かれた。

オイラの身体は吹き飛ばされて空き地に落ちた。

イテエヨ─

動けなかった。   

頭の中に家が─

飼い主の顔が浮かんだ。

カエロウ─

腰を引きずって前足だけで這った。

いつもは一走りの壁がずっとずっと続いている。

意識が遠くなる。

どれ程の時間が経ったろう?

オイラはやっと辿り着いた玄関の前で鳴いて助けを呼んだ─でも声が出ないんだ。

誰か出てきて!

痛いよ!

掠れた声で何度も叫んだ。

「ねえ、キャトの声しない?」

「え?ウチにいるんじゃないの?」

玄関の明かりが点いた。

ドアが開いた。

助かった…

オイラを一目見て飼い主はその場にへたり込んだ。

バスタオルにくるまれた血だらけのオイラを抱いて書・U・記お嬢様は一晩中手当てしてくれた。

朝一番で年1回予防注射にしか行かない獣医に駆け込んだ。

で、そのまま手術。

もうさ、オイラの腹から腰にかけて悲惨だったんだよ。

毛の部分、(毛が剥がれて)皮の部分、肉の部分、腸がはみ出してる部分、肉が抉られて白い骨が出ちゃってる部分。

内臓を押し込んで肉と肉、皮と皮、毛と毛を縫い合わす作業で2時間。

腰の砕けた関節を取り除くのがまた大変…

書・U・記様は何度も駄目か─と思ったそうだけど、どっこいオイラはしぶといんだ。

手術が終わったオイラの頭撫でながらワァワァ泣くの。

だっせぇなぁ…。

結局2週間入院してその後は自宅療養。

すげえだろ?

獣医も感心してたぜ!

物凄い生命力だって。

まあ、ちょっと右足は短くなっちまったけど、これも男の勲章ってヤツさ!

その後車は大嫌いになりましたとさ。

メデタシ、メデタシ…

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