俺の創作活動


第4話 エターナルパートナー

 相変わらず無駄に荘厳な鐘の音が響き終わり、ようやく午前中の授業が終了した。
 全く退屈な事この上ないが、あまり目立つのも問題だ。
 せめてもう少し独創性のある授業ならばこちらの楽しみも有るというのに。
 判で押したように教科書をなぞるだけの授業。
 やってる奴らも自分の仕事がつまらなくて仕方ないんだろうなあ。
 ちなみに俺はこの学年の最優秀生徒と言う事になる。
 テストだけで成績が決まっていないというならば、こんなに授業態度の悪い奴にそんな称号を与えてはいけないと思うのだが。
 俺はともかく、その称号に価値を見出して大人しく優等生らしく努めている奴らが可哀相だ。
 俺は、実際の知識さえ付けられればそれで良い。
 その先何になるかは自分で決めるからな。
「光喜ちゃん!!」
 俺が掌で、携帯電話に似せた核融合炉搭載自立起動型万能ゴミ処理機『クウタロウ』をもてあそんでいると、目の前にるりかがキスでもしそうなぐらい顔を近 づ けて怒っていた。
 あまりにも近すぎるので、なんとなく、そのまま唇を奪ってやった。
「んーーーーーーーーーーーーーっ」
 驚きに見開かれたるりかの瞳が見る間に潤んでいく。ヤバ、失敗したか。
 どこかで“当り前だバカ”とか言うもう一人の俺の声が聞こえたが、まあ今更やってしまったものは仕方ない。
「ひ、酷いよぅっ。光喜ちゃん」
 気が付けばクラス中の視線が集中していた。
 一応忘却障壁は張ったんだが……、いますぐ忘れるというものでも無いからなあ。もっとも、噂は広がらないから、その点では安心だけどな。
 とはいえ、るりかは案の定涙をこぼしている。
 中には殺意のこもった視線も有る。むう、やっぱりロリっぽいとはいえ、るりかの人気は侮れんな……。
「何だ、せっかく寝ているお前に毛布をかけてやったというのに」
 さっきの一件で疲労して眠り込んだるりかに呪文で毛布を作り出してやったのだ。本当は天蓋付きベッドを作り出してそこに横たえると言う事も考えたのだ が、 よく考えたらモノを作り出すことは出来ても、るりかの体を持ち上げる事が出来ない事に気が付いて天蓋付きベッドはお流れになった。
 道路の真中で天蓋つきベッドに寝転がっていることに気がついたときのるりかの慌てふためく様子が見たかったのだが仕方有るまい。
 言っておくが自分が変人で変態なのは良くわかってる。今更誉める所では無いからな?
「あ、やっぱりあれ、光喜ちゃんなんだ。ありがとぅ」
 にっこりと笑顔を浮かべて言うるりか。……ふ、お子様め。
「ってぇ、そんなので誤魔化されないからねぇ。いきなり、私のくち、くちびるにキスなんて……」
 恥ずかしそうにもじもじするるりかに、俺はにやりと笑う。
「何も今更初めてじゃないだろう、俺とのキスは」
 これは真実本当の話である。それも、子供の頃の話ではなく、割と最近の。高校に入る少し前の話だ。
「――――っ!! もぅもぅ、光喜ちゃんのばかぁっ」
 真っ赤になって背を向けるるりか。これじゃまるで朝の焼き直しだな。
「あの、ねぇ?」
「うん?」
「私はねぇ、いいよ? でもね、こんな事したらぁ、悲しむ人が居るんだよぉ?」
 俺は困った顔をしたのだろうか。
 るりかは、少しくすくすと笑うと。
「だから、これで、いい事にしてあげるぅ」
 鼻をつままれて思いっきり引っ張られた。
「あひゃい、いたっ……るりかお前なあ」
 だが、クラスの連中は誰も彼も当然という顔をして見てやがった。
 いや、まあ、確かにそうかも知れないが。
 そのままるりかは自分の席に戻っていった。
 しかし、るりかよ。お前、毛布と一緒に俺が『私は掃除機泥棒です』って紙を貼り付けたから怒ってたんじゃないか?
 ふふ、俺の突飛な行動にその事を忘れてしまったらしいな。作戦通りだ……と、待てよ? 結局鼻を引っ張られて、むしろマイナスか?
 ……気にするまい。
 少しばかりの挫折を抱えてるりかを見やると、もう俺の事は忘れたように、鞄の中から小さなお弁当箱を取り出していた。
 そして、かなり親しいクラスメイトといつものように昼食を取り始める。
「そっか、昼飯か」
 そろそろ、来るころだな。
 そう思って廊下を見ると、思いっきり走ってきた彼女が息を整えて、俺の方に目を向けたところだった。
 俺が見ていることに気が付いた彼女は、左手を上げてニコッと軽やかに笑う。
 右手には吊り下げられた弁当箱の入った包みが見えた。
 しばらく動かない俺を見て、きょとんとした表情に変わる彼女。
「……こ……」
 声をかけようとして、さすがに躊躇うそぶりを見せる。もじもじと、ちらちら辺りを見回しながら、手持ち無沙汰に弁当の入った包みを弄くっている。
「ほれ、たく、来てるぞ、護堂先輩。行ってやれよ」
 おせっかいなクラスメイトに促されて、俺は席を立った。
 そう、俺の教室まで来て恋する乙女をやっているその彼女は紛れも無くあの護堂志乃、カースシンボルの使い手シズカだった。
 るりかの言ってた、悲しむ相手だ。
 廊下に出てみると、志乃は、壁に背をかけて、少し恥じらいを見せながら、こちらを振り向いた。
「……光喜君」
 語尾にハートマークでもつけそうな有様だ。
「……あのさ、なんか性格違くね?」
 いや、いつも思ってたことなんだけどさ、こう、さっきまで戦ってた時の志乃見てると、この多彩な表情を浮かべる彼女が同一人物に見えないというか。
 寡黙なのは変わらないんだが、雰囲気が別人だ。
「……そう?」
 志乃は自分の格好でも何かおかしいのかな? とエリを直したり、スカートのしわを伸ばしたり無駄な努力を続ける。
 それが余計な違和感を産むのだが……少なくとも、ごく最近まで普段だってこんな感じではなかったと思うんだが……。
「……お昼」
 気が付くと、志乃がちょっと赤い顔で俺の袖を引っ張っていた。
 違和感は有る。有るが、くそ、可愛すぎ。
「わかった、じゃあ行こうか、『先輩』」
「……うん」
 返事をした時、志乃が唾を飲み込んだ音が僅かに聞こえた。
 後ろから『ちくしょーなんであいつに志乃先輩みたいな恋人が』と喚く声が聞こえた。
 俺はくすりと笑う。
 るりかも勘違いしてるようだが、俺と志乃は恋人同士なんかじゃない。
 まあ、そう誤解させておいた方が都合が良いから放ってあるけどな。
 今は女子の制服に身を包んだ志乃の肩に手をやった。
 ぴくんと志乃の体が揺れ、それだけで、何か濃厚な牝の匂いが立ち上った。
「いつもみたいに屋上が良いよね?」
「……う、ん……」
 志乃の声は、もう欲情に掠れていた。


「……んぅ……」
 屋上には俺と志乃以外の人はいない。屋上には志乃の呪いの力で常に人払いがかけてあるからだ。
 まあ、万が一を考えて、絶対開かないように入る唯一の扉はロックさせてある。鍵を持ってきても、俺が力で作ったモノが詰めてあるので動かす事は出来な い。
 そして、今俺の目の前には、から揚げをくわえた志乃がいる。
 後ろ手に手を括られ、屋上の床に膝立ちになって、一人ベンチに座った俺に向かって突き出すように、優しくくわえたから揚げを差し出している。
 目を瞑って少し恥ずかしそうにしながら。
 実際、とても恥ずかしい格好だと思う。
 制服を着たまま肘の辺りまでを後ろ手にぎっちりと縛められた志乃の上体は、豊かな胸を強調するように見えるし、その身動きの不自由さ加減がいかにも倒錯 的 だった。
 さっきから、志乃は、俺のために作ってきてくれた弁当をそうやって俺が欲しいものを告げるままに、自らの口に加えては俺の元へと運んでくれている。
 もちろん、俺の受け取り方も、そのまま口でだ。
「ちゅ……んむ。んぐ、ん、ん……ぅむ。ふぅん」
 俺が志乃の口から受け取る刹那、志乃は僅かな間の逢瀬を惜しむように舌を俺の中へと差し込み、俺の唾液を味わおうとする。
 だが、これは俺の食事なので、柔らかいその感触を軽く噛んでいなしてしまう。
「……いじわるです」
 思わず微笑みがもれた。
 きっと、他の人間がいたら、志乃が多弁なのに驚く事だろう。
 だが、実はそれには根の深い理由があったりする。
「くくっ。言霊使いのお前がそんな事言うから、余計に俺は意地悪になるんじゃないか?」
「……マスターに私の言霊が効くわけありません。やっぱりいじわるです」
 つまりはそう言うことだ。
 志乃は、自分の口で言ったことが自動的に強制力を発する、先天的な『魔術師』だ。
 多くの人を傷つけ、自分をも歪めた挙句、志乃は人前で滅多に口を開かなくなった。
 だが、ある理由で、俺にはその言霊がまったく効かない。
 だから、俺と二人きりになると態度だけでなく、言葉遣いまで志乃は一変させる。
 本当は、やっぱり喋りたいのだろう。もっとも、普段から喋りなれていないその喋り方はどこかたどたどしいものではあるのだけれど。
「次はごはんがいいな」
「……んっ。はい」
 不自由な体を捩じらせて志乃がお弁当に口を近づける。
 ご飯はくわえやすいように、最初から、海苔で俵型にまとめられている。それを器用に、口に加えると、志乃はまた目を瞑って口付けを待ち受ける。
 「……んぁ。むぅんむ、ん、んんぅ。ぁは……ちゅる。ぅ……」
 名残惜しげに離れていく、志乃の睫が深い官能にふるふると揺れている。
「志乃、下着は?」
 膝立ちのその床の部分を濡らしている液体に気が付いて俺が問う。
 つい、とスカートを爪先で持ち上げると、心得たように志乃はその先を口で受け取って、持ち上げた。
 羞恥に震え、赤らむその滑らかな腹部の下に、肌を隠すものの姿は見えなかった。
「へえ? 今日も穿いてないんだ?」
 揶揄されるように言われても、俺からスカートを下ろすように指示が出されていない今、志乃は目をぎゅっとつぶって首を振るぐらいしか出来なかった。
「もしかして、さっきの事件で昂ぶって、我慢し切れなかったのか?」
 見る間に赤くなる志乃。わかりやすい奴だ。
 きっと、解呪はされても、極限まで昂ぶった肉体は一度区切りをつけられなければ、おさまらなかったのだろう。
 そんな志乃の姿を見て居ると、俺も興奮して来た。
 残った弁当を自分の手で平らげ、ペットボトルの水で喉を潤すと、潤んだ瞳で黙ってこちらを見つづけていた志乃に向き直った。
「じゃあ、今度は志乃の食事にしようか?」
 その言葉に嬉しそうに志乃は頷いた。
「おいで」
 近寄ってきた志乃の口から、スカートを取り去ってやる。
 ずっとそのままでいたせいか、口の端から少し涎がたれていたのを舐め取るようにして志乃の口へと舌を差し込んでいく。
「……ん、ふぅ……ちゅ。じゅむ、んく、んく……ぁ、ぁふ。……っくん。はぁぁぁっ」
 唾液を少し溜め込んでから志乃の中へと流し込んでやると、それだけで、志乃がぷるぷると震えた。
 目元がほんのりと赤くなって、瞳が泳いでいた。
「気持ちよかったか?」
「……はい。マスターの唾液で、少しイってしまいました」
 自分の言葉になおさら昂ぶらされてか、志乃はもう一度ふるっと身を震わせた。
「そうか、それじゃ。今日はここまでにしておくか?」
 志乃の表情がまるで、夏の夕立のような突然の変化に見舞われる。
「そ、んなっ……」
 泣き出しそうな志乃をさらに追い詰めるように俺は言葉を繋ぐ。
「これ以上は必要ってわけじゃないだろ?」
 もう、何度となく志乃は俺にこうして恥ずかしい台詞を言わせられている。だが、それでも慣れないのか、俺に向かってねだるのが恥ずかしくて仕方ないとい う 風に目線をそらす。
「い、や……マスター。お願いです……わた・し……」
「ちゃんと、こっち見て言え」
 顎をつかんで視線をこちらに向きなおさせる。
「あ……マスター。私を……マスターのペニスに奉仕させてください。頑張りますから……。ぅくっ……お願い、しま……す」
 自分の惨めさに、不意に堪えきれなくなったように、志乃は涙を滲ませた。
「それだけでいいのか?」
「ぁ、う……ううぅ。マ、マスターの精液をたっぷりこの口に注いで、それから……それから私のはしたない、涎を垂らしている下の口にも……ひ、くっ……。 お願い、します……」
 ほとんど嗚咽混じりの声になっていたが、志乃はようやくそれを言い終わる。
 だが、それでも俺はもう少しいじめてやる事にした。
「本当に志乃はやらしいな」
「……や、そんな……う、はぁ……そ、うです。私は、いんらんだから。あああっ、だから、だから私にぃ……させて! させてください! もう我慢が……」
 自分の言霊で自分を淫乱だと呪ってしまう志乃。途端に全身がびくびく震えて、志乃の匂いがきつくなった。
 涎が制服まで垂れ伝い、身内の官能を耐え切れないように、時折志乃は首を左右に振る。そのたびに胸の奥から濡れた熱い吐息を吐き出している。
 後ろ手に縛られ、立つ事を許されない志乃にできるのはせいぜいその程度なのだ。
「お願いします……私をマスターの立派なモノで貫いて、思う存分狂わせて下さい」
 もう、狂ってるように見えるけどね。
『……もう、死にたいんです』
 ふと、昔に聞いた、小さな声が脳裏に蘇った。
 俺は志乃に気付かれないように少しだけ唇の端を噛み締める。
「いいよ、好きにするといい」
 もう少し苛めて、たまには俗っぽい性器の名称を言わせたりしようとか思ったが、そういう気分ではなくなってしまった。
 だからと言って、俺が優しいなんてことは無いんだけどな。
「は、はいっ。私、一生懸命致しますから」
 志乃は嬉しそうににじり寄ってくると、俺の下腹部に頬を擦りつけるようにしながら、ズボンのファスナーを探す。
 舌を使って、何とかファスナーを口に挟む事に成功させると、ヂヂヂと音を立てて、下におろしていく。
 上手くなったもんだ、最初の頃は、手を使っても緊張で上手く開けられなかったぐらいなのにな。
「……あ、マスターの、大きく……」
 下着一枚を通して俺の怒張にまみえた志乃はいよいよ興奮が高まったのか、熱い吐息を吐き出した。
「御奉仕、させていただきます」
 下着をやはり同じように口だけで脱がせると、志乃は怒張に舌をつけた。
 体勢が不十分な体を何とか支えながら、志乃は上から下へ、下から上へ、ちろちろとくすぐるように舌を使う。
 熱い。体温の高い小動物のような、不自然な熱さ。その熱さが、俺の怒張を行き来する。
 エラの下や裏筋と呼ばれる辺りをくすぐられると、思わず快感がこみ上げて、体がびくんと震えた。
 そのうち、舌は、べったりと舐め取るように貼り付けられ、志乃は滑らかな自分の頬まで俺の怒張に擦りつけて愛撫している。
「く……う。やっぱり、上手くなったよな。半年前と比べると格段の進歩だ」
 本気と、牽制を半々込めていった台詞に、志乃が俺の股間から顔を上げた。
「嬉しい、です……マスターに喜んでもらえるから」
 自分の唾液と、俺の先走りに顔を汚した志乃が、ぺろりと唇を舐めた。
「そろそろ銜えろ」
「……は、はい」
 志乃の声が悦びに掠れる。
 志乃にとって、俺の体液は麻薬だ。それは志乃に掛けられた魔法のせいで、先ほど唾液を飲んだだけで達したりしたのも、同じ理由だ。
 俺の体液を口にするのがどういう感覚なのかと一度聞いてみた所、全身の細胞一つ一つに満たされる愉悦、と答えてくれた。
 良くわからないが、もはや志乃にとっては無くてはならない物なのは確かだった。
「……ちゅぴ、ん、ああ、ああぁぁぁ……」
 先端を舐めて、僅かに口に含んだ志乃が感極まったような声を上げる。
「おいおい、ちゃんと集中しろよ」
「んふ……ふぁ、ふぁひ、ますふぁー。んく、じゅるずずずずーーっ」
 従順に受け答えながらも、長く焦らされて耐え切れなかったのか、志乃は先端の先走り汁を飲み込み、さらに吸い込むようにして俺の体液を求める。
「くっ」
 その吸引が、腰ごと引っこ抜かれるかのような深い快感を俺にもたらしてくる。
 それで少し落ち着いたのか、本格的に志乃は俺への奉仕を開始した。
「ん、ぐっ……ふんむぅ。じゅ、じゅる……ちゅ、るろ、れる……んっ、んっ、んっ」
 奥まで飲み込んでは喉まで使って締め付け、少し引き抜いては、狭い口の中懸命に舌を怒張に絡める。そしてそのまま歯を立てぬように気をつけながら、顔を 上 下に何度も揺らす……。強く、緩やかに、優しく、速く、変幻自在の動きを見せて、志乃は俺を昂ぶらせていく。それは決して、強すぎず、 弱すぎず、俺の快 感 をコントロールするように続く。
 俺をあっという間に放出に導こうという動きではなく、あくまで、俺を昂ぶらせ悦びを持続させ、焦らすほどにはならないように。
 大きく引き抜かれて、先端に愛しげなキスをもらい、俺の怒張がその感覚に思わず震える。
「はぁ、はぁ……。んふ、あむぅ……」
 熱っぽい瞳で僅か、現れた俺の怒張を見つめてから、またゆるゆると喉の奥までくわえ込んでいく。
 その行為を繰り返している志乃の腰が艶かしい揺らめきを見せ始めていた。
 背中に流れた長い黒髪をかき上げるようにして、熱心に奉仕を続ける志乃の首筋に触れる。
 その愛撫に志乃が少し切なげに眉をたわめると、胸を強調するように背中をそらした。
 口を使えない志乃にとっての精一杯のおねだりに俺は、そのまま制服のリボンを抜き取り、胸元へと手を侵入させていく。
 熱くて、不思議な柔らかさと弾力を持つ肉に、そっと触れていく。まるで、女を相手にするのが初めての少年が恐る恐る手を伸ばしているかのように。
 それがもどかしいのか、志乃が少し大きく体を捩じらせる。
「んぷっ……ふぅ、ふうぅ……あぁう、む、ひぇね……ちゅるぅ、じゅ、ずず……んんっんっ……ふはっ。はあ、マスターー」
 思わずといった感じで、涙を浮かべた志乃が口を怒張から離した。
「なんだ? もう、要らないのか?」
「い、いえ、そんな事は……んぐっんく、む、ちゅぅうう。ふはっはぁんっんっんんんっ」
 俺に突き放されるように言葉を掛けられ、それでも逆らえない志乃はもう一度必死に俺の怒張に縋りつく。
 だが、不安定な上体を必死になって揺らしている志乃には、俺の手に対する抵抗が全く出来ない。もっとも出来たとしても、やらないだろうけれど。
「は、はやふ……んふ、わふぁひのふひに……ん、くふぅ、ぢゅ、あふいのぉ、を……」
 さっきまでと違い、何とか俺に出してもらおうとする動きを見せる。俺がイク気にならなければ、志乃は俺に対して決定的には動こうとしないが、だが俺がイ キ たい気分にさせるように動く事はできる。
 志乃は何とか俺が我慢できなくなるように、技巧を凝らして舐めしゃぶる。
「く……志乃、そろそろ出すぞ」
 志乃の思い通りで少し悔しいが、時間も有り余っているわけじゃない。ここで終わりにするのはさすがに志乃が可哀相だし、俺としてもこれだけで満足するほ ど 枯れてない。
 くわえたまま僅かに首肯して、志乃がラストスパートに入る。
「じゅぅぅっ、るろろろろろろっ、んくううううううっ。ずちゅ、ちゅるずっちゅずっちゅ」
 強く吸引され、舌が強く絡み付いて蠢く。随分疲れているだろうに、信じられないほど細やかでかつ巧みに動き回る。そうして高めておいて、ぐうっと奥まで 飲 み込み、締め付け、とどめに激しく前後に顔を振りつづける。熱い肉の洞と化した口の中は、ともすると本来のそれよりも、心地良く感じ、思わず腰を動かして 何度か志乃の喉奥を突いてしまう。
 それでも、涙を滲ませながら、志乃は懸命に顔を振る事を止めなかった。
 その激しい動きの中、限界に達した俺は、志乃の頭を押さえつけ、その奥へと、思い切り突きこんで固定する。
 察した志乃もそのまま、唇を絞めて思い切り吸い上げた。
 白熱するほどの快感が押し寄せて、俺は、志乃の口腔へと欲望の塊を吐き出していく。
 確実に気管にも入っているはずだが、志乃はそれ以上に激しい絶頂感に、ビクンビクンと体を震わせて呆けたように口を開いた。
 つーっと垂れてくる俺の精液と交じり合った志乃の涎が志乃の顔を淫らに彩る。
 赤くなった目元、蕩けた瞳、痴女としか思えないほど、乱れた服装。
「あ……はぁ……ん」
 理性的に見れば近づきたくない女だが、欲望を吐き出す牝としてはこれ以上ないほどに興奮を掻き立てる。
 それに、普段はそんな様子をちっとも見せない貞淑そうな所とのギャップもまたいいもんだ。
 大分、SEXそのものには慣れてきているが、俺の前でこの時以外は恥じらいを欠かさないしな。
 男にとって理想の女は、昼は淑女、夜は娼婦だという。志乃がその辺りを演じ分けているだろうことは否めないが、それでも大方の男ならそれを感じないほど に は志乃はうまくやっている。
 いや、自分自身でそう言う女だと思い込んでいるのだろう。
「いつまでぼうっとしている?」
「……んく、んくん。ふは。あ、マスターすいません……ちゅ、るるろ……」
 志乃は俺の声にはっと我にかえると、口のなかの精液を飲み込み、まだ汚れたままの俺の肉棒に口付けて、残った精液を吸い取った。
 それだけで、また志乃は絶頂に震える。
 すでに、スカートにまで染みを作るほど志乃の秘所からは愛液が滴っている。
「まったく、やらしい奴だな。そんなに垂れ流していたら、脱水症状になっちまわないか?」
「……ん、ぅあん……ああ、マスター、そうならないようにしてくれますか?」
 俺のいまだに固いままの怒張に名残惜しげに舌を這わせ続ける志乃は、瞳に淫蕩な光を宿して俺を見ていた。
「どう、するつもりだ?」
 少し飲まれたような気分で、俺は聞く。
「マスターの……たくましいこの一物で、これ以上、く、はぁぁん……溢れないように私の恥ずかしい穴を塞いでください……」
 腰を蠢かせて懇願する志乃に、俺は満足して再び胸元に手を滑り込ませると、その頂きで硬く尖っていた乳首をぎゅっと捻り潰すように刺激した。
「あぅぅうううんっ!」
 背中をぐんっとそらせるようにして、志乃が前につんのめる。
「いいだろう、尻をこっちに向けるんだ」
 地面に倒れこみそうになっていた志乃が、満面に悦びを滲ませて、いそいそと体勢を入れ替える。後ろ手になったままの手で、何とか俺に向けた尻のスカート を 引き上げようとするが、それができるほど自由にはなっていない。
 これ以上焦らすのは、俺にとってもあまり嬉しくなかったので、俺自身の手で志乃のスカートを外してすべり落とさせる。
 晒された秘所に視線を感じたのか、そこは隠し切れない興奮にひくひくと蠢き、とぷりと蜜が溢れ出た。
 志乃はただ、その時を待ち受けるべく、ひたすら前を向いて、激しく欲情した息を吐き出している。
 それを見ながら俺は。
『……だったら俺が縛り付けてやるよ。お前が生きるための理由を俺が作ってやろう』
 やはり、遠い日の誓いを脳裏に思い返していた。
「まだ、お前は死にたいか?」
 志乃の雰囲気に瞬間違ったものが混じった。
 振り返る、正気に戻ったような瞳。
「……え? んっあっ! あ、あぁぁあああああっ」
 だが、不思議そうな問いかけをした口も、意識も、次の瞬間襲った怒張での突き上げに脆くも霧散していく。
「あ、あああ、い、いぃですぅ。マスター、マスターーーっ!!」
 こつん、こつんと、子宮口を突き上げる感覚。そのたびに、志乃の表情は蕩け崩れ、瞳には霞がかかり、突き上げられるままに、踊り狂う肉体。
 自由にならない両の手の先が、体に満ちる激しすぎる快感を何とか外に逃がそうとするかのように無駄な引きつりを繰り返す。
 きゅうきゅうと、俺の怒張に絡みつき絞り上げ、精を吸い出そうとする志乃の膣。
 俺の動きに合わせて、志乃の腰が揺らめく。抜けそうになるぎりぎりまで引き抜き、そして、互いの息を合わせて、奥まで突きこむ。
 まだ堪えている俺と違って、志乃はほとんど無意識の求める動きに近いだろう。
 それだけに、波打つ体はひどく艶かしい。
 上衣を上へと捲り上げると、白く滑らかな腹部が痙攣するように震えて現れ、その更に上の方では度重なる愛撫や無理な動きではだけられた志乃の豊かな胸 と、 かろうじてまとわりつくブラジャーの姿が見えた。
「うぁ、ぁぁぁああん。だ、め……マスター、もう私、イってしまいます。ああ、ん、は、はげし……」
 これまでの頂上を越える高い波にさらわれようとしている志乃の後ろ手に縛られた手をぐんと引き絞り、志乃の体を俺の上へと座らせる。
「っ、か、は……−−−−−−−−っ!!」
 自分の重みでそれまで以上に深く強く突かれて志乃は胸の奥の息を全て吐き出すようにして、激しい絶頂に達する。
 声も出せないまま、はっはっと荒い息をつく。
 目を瞑り、深い快感の最後の一滴まで味わおうと、志乃はそのまま動かない。いや、動けないのかもしれない。
 もちろん、俺はそのままにしてやるほど慈悲深くもないし、我慢強くもない。
 志乃の太ももをつかんで大きく割り開くと、上に乗ったままの志乃の体を無理矢理にゆすりだした。
「う、あ、ああっ。き、つい……マスター、つ、辛いです」
「辛いだけか?」
「く、ん、んぁぁあっ。い、いえ、また、もう、はあはあ、気持ちよすぎて、す……ご、すごいぃぃ。わた、死んじゃ……死んじゃいますぅっ」
 その言葉に瞬間的に冷える俺がいる。
「ばか、死んだら、もうこんなに気持ち良くなれないぞ?」
 所詮俺は小悪党だと思い知る。完全な悪人にも、善人にもなれない俺。それでも、止めることは出来ない。
 それが俺の望んだ形だから。
 俺の望むありようだから。
「や、やぁぁああっ。だめ、だめです……そんなの、ああ、もっと、もっと強く私をぉぉおおおあぅっ」
 全てを忘れて狂う、牝。
 だが、その様はひどく美しかった。生命の営みとはかけ離れたはずの、ただ性欲に溺れ求め合っているだけのはずなのに。
 跳ねる体、上気して赤く染まった頬。引き締まった腹部に伝う汗、快感を深く受け取ろうと視覚を閉ざし、その縁からは透明な涙が零れ落ちる。
 耐え切れなくなって、俺はさらに志乃を貶めようとする。
「おい、いつまで覗いている気だよ」
 俺が入り口の近くの影に声をかけると、そこから目元をサングラスで隠した黒スーツの女が姿を表した。
 セミロングの銀髪がきらきらと日の光を受けて輝いている。
 この姿が、普段のレイチェルだ。
「……宜しいのですか?」
 聞いたのは志乃のことだろう。だが当の志乃は、レイチェルの出現を更なる官能のスパイスとしてしか捕えられなくなっていた。
 自らいやらしく腰をくねらし、「ああ、見られて、見られてるのに、ぅあぁぁ。腰が、う、んうぅん、止まらないのぉ」と恥らっているように見せて自分の言 葉 で自らを昂ぶらせている。
 志乃の体のどこもかしこももうすでにぐずぐずに蕩けきっていて、理性を引き戻す事なんかできっこない。
 言葉使いを元に戻せないのがその証拠だ。
「志乃のことなら気にするな。こいつはお前の事も俺のこともきちんと理解してるし、知ってる。なにせ……」
 その瞬間、しばらく堪えていた志乃が俺の上で全身を震わせて絶頂に達する。
 俺は、その瞬間の膣の激しい締め上げを堪えながら、その言葉を口にする。
「志乃は俺の“使い魔”だからな」
 がくりと、俺のほうに寄りかかってくる志乃の耳元に、口を寄せて息を吹き込む。
「ぅあ……ああ、ますたー……」
 だから、志乃の言霊は俺には効かない。俺は志乃の上位存在だからだ。そもそも志乃の全てを掌握している俺にとって、志乃に何を喋らせるかまで強制するこ と が可能なのだ。
「ほら、レイチェルに挨拶しろ。今日のことはきっちりと謝っておけ」
 まだ激しすぎる絶頂の余韻に浸った志乃は億劫そうに体を動かし、レイチェルに視線を合わせる。
「……マスター……光喜様の使い魔の護堂志乃です。今日は、まことに申し訳ございませんでぇ、したぁ、うぁぁああっ」
 終わりの方で言葉が乱れたのは当然俺が責め始めたからだ。
 何度も何度も達した志乃はかなり辛いはずだが、俺に動かれるとそれだけで昂ぶりが抑えきれなくなる。人間の使い魔にとって主人の体液は食事であり、最高 の 媚薬だからだ。
 その媚薬を得る為に体が勝手に反応するのだ。
 体液と言う事は血液でもいいはずなのだが、元が人間の場合、なぜかあまり血液ではそういう効果が得られないらしい。
 猫などを使い魔にすれば、時折血液を与えるだけで使い魔はほぼ無限に行動していられるのだが、そもそもあまり使い魔に適さない人間の場合では、そんな副 作 用があるのだった。
 元々の素体に意思力が有るか無いかの差なのかもしれない。こうして、主人に溺れさせる事で、反抗的な意志を持つ事すら奪い取るために。
 本当は志乃の場合も、唾液を与えるだけですまそうと思っていたが、唾液では、もって一日。精液ならかなりの期間志乃を維持する事ができると知って試した ら、志乃がもうSEXなしではいられなくなってしまった。
 最初のうちは志乃も精を受けることに躊躇いが有ったようだったが、受精の強烈な快感にあっという間にそんな理性は突き崩され、志乃は自ら堕ちていった。
 堪えるための大切ななにかもまた志乃には無かったから、その堕落は早かった。
「使い魔? と言う事は、彼女の正体はなんなのです?」
 だが、レイチェルにそんなことがわかるはずがない。きっと、今の姿は動物の使い魔か何かが変化したものだとでも思っているのだろう。
「正体も何も、志乃は元々人間だよ。んっ……くう、いい締め付けだぞ」
「ぅは……ありがとうござ……んんぅぃっ、ますう。はぁんっ」
 上へと伸ばした手で、滑らかな志乃の肌をさすり、力強く胸を揉みしだく、普段なら痛いはずのその刺激も、今の志乃にとっては極上の快楽へと変換される。
「人間を使い魔にしたのですか!?」
「そうだ。悪いか? レイチェル」
「いいえ。……しかし、では何故志乃様は?」
 レイチェルの聞きたい事はわかる。
 それならば何故志乃は正義の味方に与しているのか。
「単純な事だろう? スパイに決まっている」
「は、ひぃ。志乃は、私は……マスターの命令で、彼らをぉぉ、監視している……っはっ! の、です。ぅぅうんっ」
 がくがくと上下に揺れる人形のような志乃が途切れ途切れに語る。
「まあ、そう言うわけだ。敵を欺くにはまず味方から、ってな……」
「なるほど。よくわかりました」
「まあ、その所為で、今日はお前に悪い事をしちまったがな」
「すい、ま、ん、んんんんっせぇんっ!!」
 志乃は頭を下げるがその動きは、本当にそのための動きなのか、快楽に跳ねる体の自然な反応なのか良くわからない。
 ていうか、本当に自分で何喋ってるかわかってんだろうな?
「いいえ、そういう理由ならば。傷ももうふさがっている事ですし」
 あの時、俺は遠距離にも関わらず、クリエイトシンボルを使ってレイチェルの体内に彼女自身の血液を大量に作り出した。しかし、遠くからでは加減がわから な い。作りすぎてしまえば、あっという間にレイチェルは血管を破裂させて死んでしまう。それに作り出す場所の細かい指定、一辺に作る限界量などの見極めもか なり難しかった。
 そのため、使い魔である志乃の体を支配し、そこを基点として魔術を行ったのだ。
 あの場に他のヒロインがいたら、志乃が使い魔だという事がばれてしまう原因になったことだろう。
「なんだったら、お返しに志乃の首も切ってやるか?」
 その言葉にギョッとした顔をするレイチェル。
「それで、お気がぁ、すむのでしたら、どうぞ、志乃の首を、掻き切ってやってくださいぃぃっ」
 そんな恐ろしい事を口にしながらも、志乃は狂ったような腰の動きをやめはしない。今の志乃にとって生きると言う事は俺を膣の中に迎え入れると言う事に他 な らない。
 それだけが、今の志乃の望み。自分の全てを捨て、俺に縛られ、快楽に溺れるだけの人形。
「ふふ、大丈夫さ。志乃は使い魔の能力を全開にすると、反射神経、体力、腕力、治癒力などが信じられないぐらいに高まるからな。首切ったって、死にやしな いぜ」
 だがそれでも、いやそれだからこそ、薄気味悪さを感じずにはいられないのだろう。レイチェルは首を横に振った。
「いえ、私の方はもう納得していますので、どうかお気になさらず」
「それよりも、志乃様は何故『エターナルパートナー』などを掛けられて抵抗しなかったのです?」
 心底不思議そうにレイチェルは尋ねる。まあ、当然の話だ。
 使い魔になると言う事は間違いなく人間をやめるってこと。それに、一人の支配者に身も心もその全てを握られると言う事だ。
「それ、はぁ……私の復讐を、はぁはぁ、ああぁぁっマスター、すごいぃい、いい、ですぅぁあっ。うぁぅあああっ……は、はぁは、は、はあ。手伝ってもら、 う代わり……くひぃんっ!」
 志乃は家族を失っている。
 その仇を討つために、俺に手を借りる代償に使い魔となる魔術『エターナルパートナー』を受け入れた。だが、そのうちに、使い魔と化した彼女はその制約に 溺 れて、そんな理由がなくてももう俺から離れることなど出来なくなってしまっていた。
 と、志乃はそう信じ込んでいるが、本当は違う。
 志乃。お前はただ、死ぬことにも、生きることにも、抵抗する気力すら残っていなかっただけだろう……?
「無駄口叩いてないで、もっかいイけ!」
 強く深く突きこむと同時に、これまで全く触っていなかった、秘所の上の部分に存在する女の急所を指で押しつぶすように刺激した。
 後ろからという体勢上、膣奥や内部の性感帯は満遍なく刺激されるが、どうしても正常位などに比べてその部分への刺激は少なくなる。
 何度も何度も絶頂に追い上げられながら、志乃のそこは、小さな豆は刺激を待ちわびて、ずっとずっと焦れきっていた。
 そこを今になって強烈に押しつぶされた志乃はこれまでにも増して、激烈に絶頂の階段を押し上げられていった。
「ひぃぃぃいっ。く、んぅぁああ、ぃーーーーーーーっ!!!!」
 抱えられた志乃の足の爪先がピンと突っ張る。体全体が反り返ろうとして、俺の腕の中で強張った。
「ひぅぁぁあああっ。マスターぁぁぁああああっ」
 今度の締め付けには俺も逆らわなかった、勢いよく今日二度目の射精を志乃の中で行う。
 びゅく、びゅくと震えて志乃の子宮へと吐き出された精を志乃は人外の愉悦と共に受け取っていた。
 そして俺が怒張を引き抜くと、志乃は強張っていた全身をだらしなく脱力させ、止まっていた息を思い出したように吸い込んだ。
 あまりの刺激に意識が飛び、しばし仮死状態になってしまったようだ。
 息を吹き返しても、気を失ったまま志乃は動かない。
 こんな風に酸素が行き渡らないうちに、大切な何かが壊れちまって、志乃の頭の中は色ボケになっちまってるのかもな。
 俺は志乃を横たえると、手を縛っているロープを解き、スカートを穿かせて乱れた衣服を整えてやる。
 まあ、大抵いつも志乃の食事はこうして終わるから俺も手馴れたものだ。
「他の奴らにはまだ言うなよ」
 というか、少しは手伝え、レイチェル。
「はい、わかっています、光喜様。ですが……」
「なんだ?」
「るりか様は薄々気付いてらっしゃるのではないですか?」
「いや、多分それはないな。るりかにそんな人を疑うスキルはないさ」
「でも、いくらるりか様でも、光喜様がノワールゼロの幹部だと言う事は知っていらっしゃるのですから」
 幹部、幹部ねえ。
「だとしても、あのお人よしはな、俺と志乃が恋人同士だと言う事と、そこが頭の中で結びつかない人種なんだよ」
「そうなのですか?」
「そうなんだよ。ところで、お前も参加していくか?」
 レイチェルの頬が、僅かにぴくりと動く。
「いえ、今は遠慮しておきます」
「そうか、家に帰ってからのほうが、時間もあるし落ち着いて出来るものな」
「……まだ、する気なんですか?」
「もちろんだが、何か問題でも?」
「いえ……、ただ、光喜様の色キチガイ、と」
「っな! ……てめえらに言われたくねぇよっ」
 だが、俺が叫んだ時にはレイチェルの姿はもうどこにも見えなくなっていた。
 昼休みの終わりを告げる鐘がごぉん、ごぉんと鳴り響く。
 どうやら少し楽しみすぎたようだ。
 だがベンチの上ではまだ、志乃がすうすうと安らかな寝息を立てていた。
「ちぇっ……。俺も、寝るとするかな」
 俺は創り出した寝台に志乃を乗せ、自分もその横にごろりと寝転がった。

第4.5話へ(本編には余り関わりなし)
第5話へ


後書き
 こそこそ……なんか今度こそ志乃さんに見つかったら殺されそうな気が。
 ん? どうやら、その志乃さんはまだ激しくされて気絶したままのようですね。可愛い寝 顔ですねー。
志乃「……ますたぁ」
 ……志乃さん本当にお疲れ様。エロ担当とか言ってすいません。多分次はレイチェルさん辺りでしょう。……あくまで多分。
 さて、そろそろ次辺りで、ウィザーズクレストやるりかのじいさんについてのお話をするつもりです。
 まあ、どうなるかは書いてみなくちゃわかんないわけですが。
レイチェル「次は書かなくていいですから、死んでいてください」
 ぎゃ、ぐはぁぁ。ばたり。